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その9 「深いオーディオの奥義」


 BIGの在庫切れの為、18個のBIG JAZZを作るつもりが1個足らない17個になってしまいました。仕方なくこの度はスピーカーを除いて4つのコンポに挿入して聴くこととしました。


トランスポート CEC TL-1X
DAコンバーター マランツ プロジェクトD-1
パッシブコントローラー ローゼンクランツ C-1EX
パワーアンプ ローゼンクランツ P-1EX
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 こけら落しは、もちろんこの最近よく聴くウィントン・マルサリスのスタンダードタイムVol.3です。「予想を覆される音」とも言えるし、その半面、「予想通りとも言える音」です。前者の場合は数多くBIG JAZZを入れるのだから、よりそのエッセンスがよく出るであろうとの音。それが、「どっこい!」「なんでもない音!」なのです。そうです、こういう時はウンと期待が持てる時なんです。


 予想通りというのは、オーディオラックに載ってある機材が全てBIG JAZZで統一される訳ですから、みんなの呼吸が揃い、「凄い事が何でもなく、当たり前のようになる」状態の音のこと。例の7曲目に差し掛かりました。ずいぶん野太い音に変わりつつあります、そしてシステム全体が細胞分裂を繰り返しながら大きくなって行っているイメージです。この感じはJBLで言えばLE-85のドライバーから375や2441に、またアルテックですと802-8Dから288-16Gに変わった感じ。

 「リラクゼーションの中の緊張感」とでもいいましょうか、余裕を持って聴けます。7曲目はドラミングから入りますが、8曲目はウッドベースにリードされて始まる同じようなテンポの雰囲気、そのベースとブラシによるドラミングのコラボレーションなんか全く大人の世界という雰囲気です。これは多分にウィントンのお父さんであるエリスのピアノが、そういう「枯れた味」と「ムード」を醸し出させるのでしょう。

 7〜8曲目は、一般のオーディオシステムならどうしても「ドローンとした重々しい低音」が緒を引くのですが、それは全くありません、むしろ軽やかさを感じる曲調です。しかしこうまで鳴り方や感じ方が変わるということは、アーティストの表わそうとしている気持ちの真意など汲み取れているようで実はそうでもなかったと言えそうです。イヤ!ハヤ!オーディオの奥義というものは「ナント!」「なんと!」「何と!」「深いのでしょう!!」。


 15曲目の「You're My Everything」なんか、思わずスキップして飛び跳ねるように鳴ります。
 
 16曲目の「Skylark」も何ともいえません。メランコリックなトランペットの音色です。

 17曲目の「It' Easy to Remember」も美しい。

 今日はあまりいいことがなく、実のところBIG JAZZはきょう試聴したいという気持ちがハッキリ言って湧いてこなかったのです。それが聴き始めたら何もかも忘れれJAZZの世界に浸れているのですから不思議です。何がこのような気持ちにさせるのでしょう?、あるいは今日の私はアドレナリンがドワーッと溢れているのでしょうか?

 「It's Too Late Now」が最後に放たれた左手から緒を引くような低いピアノの余韻が何時までも続き、それが消え去って初めて21曲全てが終わりました。今とても、いい心地です。


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