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その13 「寺島邸のシステムの特徴」


 空手の真似事は男なら誰でも子供のころにやったことがあるでしょう、瓦にしても板にしても割れた時はいいのですが、割れなかった時はその衝撃が全て手に戻ってきますから痛いなんてもんじゃありません。

 合板で出来たスピーカーエンクロージャーの話なんですが、丁度そのような状態にスピーカーユニットがさらされていると感じて頂ければいいと思います。何故ならば木の繊維が90度づつ互いに縦横に交差していますから、繰り返し発生する音楽振動がその場から逃げてくれにくい構造にあるのです。丁度金縛りの状態な訳です。

 ですから、微弱音や音の余韻といったものを再現するのは苦手で、とに角パワーをぶち込んで鳴らすしかその長所を見出す方法はありません。力強い張りのある音を出すことに於いては局面次第ではいいこともあるでしょうが、至近距離におけるリスニングポジションが余儀なくされる一般家庭においての音楽鑑賞用には厳しいものがあると思います。まして大型のホーン型でしたら尚更のことです。その為、寺島さんは最近、医者から「大きな音で長時間聴かないように」と警告されているそうです。

 そのレイオーディオのスピーカーの下には、汽車の線路を受ける枕木と間違えてもおかしくない程瓜二つの、これまた合板で出来た重さ40キロはありそうなものが前後方向に2本あります。その上にスピーカーは直置きです。また、これでもかとJDFのモノラル・パワーアンプを置いてある合板の特注ラックもその厚さたるや80〜100ミリはありそうな物。当然のことながらCDとプリを置いてあるラックもそれと同じ構造の横2連タイプです。

ローゼンクランツのケーブルを首にぶら下げ、ご機嫌な様子の寺島御大

 すなわち、寺島邸のシステムの音の特徴は合板が大半を占めているのです。現代に於いてはスピーカーエンクロージャーもオーディオラックも80〜90%方はM.D.F、若しくは圧縮ボードタイプですから、皆さん方が普段馴染みのある音とは大きく違う鳴り方の音なのです。

 そしてパワーアンプはACケーブルは交換出来ない直出しタイプなので、ご自慢の黒蛇、青蛇は使うことが出来ません。それとスピーカーケーブルも専用の物しかどうも使えないらしい、この2点が寺島さんにとって一番つらいそうです。パワーアンプ以前のみで色々と試行錯誤せざるを得ないので、いい音を出すのに大変難しいわけです。

 特にケーブル関係で強力な物を持ってくれば、勿論そのもの自体の長所は確認出来て、「これは凄い!」ということになるのですが、信号の上手に凄い物が入れば入るほどパワーアンプ以降の流れ方とエネルギーバランスが取れなくなり、そのジレンマはどうにも解決されにくいということになります。前半、後半どちらも流れが良いのが理想ですが、やむなく半分の場合なら後半に抜けのいいほうが気持ちよく音楽が聴けるというものです。

 その何かとトライし続けている前半部分のシステムは、LINNの280万円のCDとコンバーターはイルンゴ製、それに特注物のプリ。プリとスピーカーを除いてインシュレーターは、現在ローゼンクランツのPB-BIGを12個使っておられます。寺島邸の概要はざっとこういったものであります。ケーブル関係については最近どうなっているのかは分りません。 

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