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その14 「音楽と出会えオーディオと決別」 |
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----- Original Message ----- From:T.W To: ローゼンクランツ Sent: Sunday, March 31, 2002 7:58 AM Subject: T.Wです。 貝崎様 いつも大変お世話になっています。 【貝崎さんはいつ寝ていらっしゃるのでしょうか?】という我が家のお茶目な疑問に詳しくお答えいただきまして、誠に有難うございます。私にとっては本当に羨ましいお仕事と強いご意思による取り組み姿勢で、家族のものには『もう読まないほうが良いよ・・・。』とまで言われました。(羨ましがるからです。)私もいつかはオーディオ・ショップかジャズ喫茶の頑固な店主となり、仙人(?:失礼!気を悪くなさらないでください。私にとってはこの表現が最も好きなんです。)のような日々を送りたいと数年前(もっと前かもしれません。)から真剣に考えておりました。 さて、PB-BIG JAZZをCDプレーヤーにセットして、10日程経ちました。その間に1度、セッティングが微妙に気に入らずやり直したことが1度ありましたが順調に音も成長し、昨日などは過去最高というような演奏を我が家のオーディオ・セットはしてくれました。もう低音がどうのとか高音がどうのとか、いつも音を分析して聴いている自分がそこにはおりません。心から音楽を楽しんでおります。アコースティック・ベースやドラム、ピアノ、ギターのリズムを受け持つ楽器の乗りの良いこと!トランペットやテナー・サキソフォン等のリード楽器及びボーカリストの深い表現力にも感動ものです。この音が明日も明後日も消えずに残っていますように・・・。いやいや、どんどん更に良くなっていきますようにと心から望んでおります。 このように外国のオーディオ機器と組み合わせて、一体となって音楽を表現できるポイント・ベースが『日本で作られていること』を非常に嬉しく思います。貝崎様は本当に音楽を良く理解されている方だと思います。本当に尊敬いたします。過去から現在、そして今後も日本で音楽を表現できるオーディオ機器が製作されることはまず有り得ないだろうというのが私の考えです。 過去の日本の製品を全て聴いたのかと問われれば、答えはNoです。私の聴いた製品などほんの一握りのものです。ですが、メーカーの今までやってきた姿勢を考えればそんなに外れてはいないだろうと思います。松下(テクニクス)、東芝(オーレックス)、日立(ローディー)、シャープ(オプトニカ)、サンヨー(オットー)、三菱(ダイヤトーン)等、大企業は『企業としての文化』をいとも簡単に捨ててしまいました。企業として文化の担い手となることを放棄してしまったのです。 三菱など、さも得意そうに砂丘だか砂漠だか判りませんがスピーカーを砂の中に埋め込んで無限大バッフルを実現し、マイクを上から吊り下げて周波数特性を測定しているCMがありましたね。部屋の中で音楽を聴くためのスピーカーを作るのに、なぜ砂丘だか砂漠のような非日常的な環境の中でデーターをとる必要があるのでしょう?私には理解できません。 唯一例外があるとすればヤマハの【NS1000M】が思い浮かびます。このスピーカーはベリリウムの振動板を使ったことばかりがクローズアップされていたように思います。それも要因のひとつだと考えられますが、システムとして音楽が鳴っていたように思います。ですが、ヤマハもこのNS1000Mをとうとう越えるスピーカーは作り出せなかった・・・。【まぐれ】だったのかもしれません。 正直に言いますと私は日本人が好きではありません。Minority(少数派)を尊重しないからです。何でも多数決で右に倣えをよしとする自分の意思を持たない国民性に思えるからです。個人の意思をこんなに軽視出来得る民族もそう多くはないでしょう。その上、文化(文明ではありません。)を理解する人の数の少なさは世界有数ではないでしょうか?私の文化レベルなどたかが知れていますが、あまりにも文化を理解しない(しようとしない)人が多すぎるように私には思われてなりません。これも敗戦で自国の文化を捨てざるを得なかった年代の人々なら理解できます。ですが現代はそういう時代ではありません。若者はもっと謙虚に(と同時に自分の未来に誇りを持ち)先達の文化を学ぶべきです。壮年の人はもっと自分の意思をしっかりと表現すべきです。今、日本は何処へ向かっていこうとしているのでしょう・・・。 また、近畿圏でもこの文化の消失は大阪が最も進んでいるように思います。神戸や京都はまだ大阪に比べれば文化を愛する人が残っているようです。それはジャズ喫茶の数に顕著に現れています。文化レベルとジャズ喫茶の数は比例する!との研究発表を行いたいぐらいです。 |
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----- Original Message ----- From: info@rosenkranz-jp.com To: T.W Sent: Tuesday, April 02, 2002 1:39 PM Subject: Easy Come Easy Go T.W様 後になって気がついたことなんですが、「大企業が文化を捨ててしまった」ということについてですが、彼らはその事を文化とは最初から受け止めていたのではないのかもしれません。もちろん、携わっている当事者の中には純粋な人も多かったと思いますが、儲かるから参入しない手はないということの方が強かったと思うのです。 企業ですから営利が優先するのでしょう。しかし、儲かるからといって単純な動機で初めても、三度の飯より好きという人たちには最後は、かなわないという見本のようなものでしょうネ。それは、数ある部門の一つですから無くなったって命にはべつじょうありませんから。英語の諺の、「Easy Come Easy Go.」に当たるものです。 次々と廃部に追い込まれていく、今の企業スポーツの在り方なども全く似ていると思います。数字しか見ない銀行あたりから、融資の条件として突きつけられたりすることがきっかけとなるのでしょう。 しかし、本業として1本でやっている所は、それを止めるということは、死を意味しますからドッコイ違いますよね。ここらあたりが勝負の分かれ目になるのではないでしょうか。 ですから、そうなるべくして、そうなった必然と見るべきだと私は見ます。最初から答えは解っていたと言ってもいいのではないのでしょうか。 --------------------------------- ローゼンクランツ 貝崎 静雄 〒733-0003 広島市西区三篠町2−17−7 tel&fax 082-230-3458 info@rosenkranz-jp.com --------------------------------- |
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