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その42 「寺島氏の口から”付帯音”という信じられない言葉が出てきた」 |
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前回のスピーカー(レイオーディオ)の時にはBIG JAZZの事をこてんぱんにこき下ろした寺島さんでしたが、今回のBIG BOSSの試聴では好感触を示してくれました。ただ、すぐに飛びついて失敗した例が過去に色々とあるから、しばらく様子を見させてくれという話になっていました。特にインシュレーターの場合はモロ振動に関することだから・・・。 『今回の出来事はオーディオアクセサリーの連載、「オーディオ桃源郷」に持って来いだ!』。 そのように言っておられたので、本が発売になるのを待っていて、その内容を見てから電話をしてみようと思っていました。その内容の一部ですがご覧下さい。 |
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「どんな感じですか、最近は」。 久し振りに広島のカイザーサウンドから電話がかかった。 最近は東京の事務所にいることが多いらしい。 距離は近づいたが、双方の距離は遠くなっていた。 「いや、結構よく鳴っていますよ」。 「それで『オーディオアクセサリー』にあんな酢漬けのニシンみたいな文章書いているんですね」。 ガーン。 私は頭に血が上った。 人をなんだと思っているんだ。 人は誰しもその人にとって一番大切なものがある。 私の場合、それが文章なのだ。 なにかの形で仕返ししてやろう。 しかしいわれてみれば思い当たらないこともない。 文章というのは競争である。 つまらなければお後が控えている。 そういう状況で初めて緊迫感のある文章が生まれるのだ。 毎月決まった欄を持つ筆者が、もっとも気をつけなければいけないことだろう。 私は氏の言葉を警告と受け取った。 ありがとう。 しかし仕返ししてやろう。 「新製品が出来ましてね。例の歯茎の構造のインシュレーター、 現在ビッグというのを使ってもらっていますが、 今度ディンプルを付けたんですよ。 それを寺島さんに聴いてもらおうと思って」。 私は以前この会社のディンプルもので懲りている。 インシュレーターの表面にたくさんの穴を開けたビッグジャズ。 ディンプル分だけ音に隙間が生じ、 風圧が下がってしまったのだ。 ようしこれでカタキをとってやろう。 ビッグボスが送られてきた。 私はそれをパワーアンプの下にはめ込んだ。 あ、これは仕返しにならんわ。 音に小気味よい響きがついてしまったではないか。 余韻がいつまでも消えるのを惜しむようにスピーカーの間に漂っている。 ディンプルがこういう形で功を奏したのか。 以前は裏目に出たのが今回は吉と出た。 これはスピーカーの違いだろう。 アバンギャルドはとにかく抜けがいい。 一点の付帯音も感じられない。 楽器の素材がそっくりそのまま出てくるようだ。 楽器一つ一つくっきり目鼻立ちを整え、 なおかつ各々1個1個に力がある。 前のスピーカーは主として面で出たが、 そして私もそのように調教したが、 アバンギャルドは点で出来してくるのだ。 その点を上手い具合にグレードアップしたのがディンプルなのかもしれない。 響きのよさがメリットの大きなひとつであるアバンギャルドに、 ディンプルは合ってしまったのだ。 響きの強いところもジャズを聴く私に好都合。 |
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この文章の中で私が一番驚いたのが、 『一点の付帯音も感じられない』。という表現です。 寺島さんの口から”付帯音”という言葉が出て来るなんて信じられませんでした。 何度も寺島邸を訪れ、付帯音についてディスカッションした事がありますが、どうしてもその区別や違いを理解して貰えなかった経緯があります。今をして思うに、生演奏と等量の音量に到達しなければ、どんなに素晴らしい音であっても満足出来ない。音量第一主義なんだろうと思います。 私なんかはどんなに小さな音でも、ダイナミックレンジさえ豊かであれば、等分の縮小として脳が理解して音楽を楽しめるんです。 この「オーディオ桃源郷」を読んだ後に寺島さんに電話をしました。 「凄いですネェ、最初2ページだったのが4ページになり、今回は6ページですが、これからずっと6ページになるんですか?」。 『いや、いや、今回はたまたま書く事が多かったからで、これからずっとではないんだよ』。 「BIG BOSSは如何ですか?」。 『いや〜、いいよ、9個貰うから安くしてよ!』。 有難う御座います、お気に召してくださって。 また、”ディンプルは駄目!”だといわれたらどうしようかと思っていたんです。 モノラルパワーアンプに6個、リンのCDプレーヤーに3個です。 コンバーターとウーハーの下には従来のビッグです。 |
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