メグのジャズ愛好会が主催するオーディオイベントも今では恒例となった感があります。10月は47研究所、11月はTMDでした。12月の下見を兼ねてTMDのイベントにオーディエンスとしてお邪魔しました。
TMDの畑野さんとは電話では何度かお話した事がありましたが、お会いするのは初めてでした。製品には寺島さんのお宅だとかお客様のお宅で拝見していましたのである程度の事は理解しているつもりでしたが、実際にフル装備のTMDサウンドを体験するのは初めてでした。
最前席に陣取っていたので一際異彩を放っていたのがかの有名な寺島アンプです。思っていた以上に大きなアンプです。プリ部はソーラーバッテリー駆動との事ですが、それを充電する為のランプの光が天板から漏れているのがやけに気になりました。しかし、その音はパワー溢れるサウンドで、手配線の良さが明らかに出ていました。
その日は主にピンケーブルの試聴がメインに組まれたイベントでした。合計7本のピンケーブルを次々と交換して行くという変わった企画です。資料を見ただけの時点では、あまり意味がないのではと訝しく思っていたのが正直なところです。
最初の組み合わせでピアノトリオを聞かされた時には、長い私のオーディオ人生の中で、一度たりとも体験した事のない魅力のある音だと感じました。2本目、3本目と聴いて行く内に借り物のDUOとの関係からか、ところどころに気になる点はありましたが、さすがと唸らされる音も随所に出ていました。
好印象 → 気になる点 → 一家言持った音・・・。
オーディオ屋の性からそんな風に思っていた矢先に、
寺島さんからいきなり感想を求められたのです。
会場の雰囲気も盛り上がっていた時に、
『カイザーさん!、TMDサウンドはどうですか?』
「ハイ! 一言で言うと、さすがだと思いました」
どんな音を創りたいのか、出てくる音を聴くとその理念が読み取れるのです。昨今の物作りが証明しているように、市場迎合主義と利益追求型の商品ばかりです。そんな中にあって、魅力あるTMDサウンドを聞かせられたのは、畑野さんの頭の中に、出したい音のテーマがハッキリ決まっているという証明でもある訳です。私はその点に敬服しました。畑野さんご自身もドラムを叩くと仰っていましたので、ドラムの音が際立た、なるほどと頷ける音でした。
私も畑野さんと同じように理念追求型で頑張っていますので、来月の24日のカイザーサウンドのイベントにも是非とも足を運んで下さいますようお願いします。とちゃっかり宣伝も忘れませんでした。
更に追い討ちをかけるように、『ジャズとクラシックを同時に良く鳴らせるようなシステムは可能なのか? 可能だと思う方は手を挙げてみて下さい』
私は手を挙げましたが、外に2〜3人だけでした。『畑野さん如何でしょう?』畑野さんは今までの経験上では無理があるとの立場でした。この手の議論になると理屈っぽくなり朝まで語っても答えは出ないので、壮大なテーマの割には静かな内に終わりました。