トップ情報シトロエン・CXというパンドラの箱を開けてしまった!>CXファミリアールのスフィアー全球交換

CXファミリアールのスフィアー全球交換

ハイドロ・シトロエンはエグザンティア'93左セダンと'97ブレーク、XM-X'94左セダン1台に、'93、'94ブレーク右2台、合計5台乗り継いで来たので、その独特の乗り心地は忘れられるものではありません。だから、もっとハイドロ色の強いオールドシトロエンにも一度は乗ってみたい! という思いがずっとありました。

このCXファミリアールは、C6ディーゼル2.7とどちらにしようかという二者択一の中で決めたものです。C6はいつでも乗れる! という気持ちと、これだけ程度の良い玉を逃すとそのチャンスは生涯無いと思って購入しました。

シトロエンCXファミリアールは7人乗りの3列シートで、折りたたみが出来ない関係で仕事車として使うことは殆どありません。従って、CXに乗るのは多くて月に二三度です。

そのCXは運転するというよりも、生き物に乗っているような気分にさせてくれます。信号待ちしていると、お尻部分がモッコリ上がったりして何ともユーモラスです。エンジンは今となっては生きた化石のようなOHVです。

加速段階で独特の”ひゅい〜ん”という鳴き声のような音がして、何とも言えません。少しずつ調教したので、今はとても良いコンディションですが、買った時の乗り味は正直予想を下回っていました。そこらあたりの変容を遡って綴ってみたいと思います。

何年も車庫に大事に保管されていたので当然といえば当然です。車は乗っていないと調子が出ません。買った時には車検が数ヶ月しか無かったので、スフィアーは車検時に一緒に換えるつもりでした。

タイヤの山はかなり残っているけど、ゴムが硬直し始めているようだったのですぐに新品に交換しました。私の場合はカタログの写真を見て決めます。タイヤは柔らか目のタイプにしました。

ミシュラン、ブリジストンよりもCXにはGood YearのGT-Hybridがしっくり来ると感じました。値段も安いしこの上ありません。でも、シトロエンファンからすると、Good Yearなんて百に一つも無い選択肢でしょうから、嘲笑の対象でしょうね・・・。

元々のミシュランタイヤ 交換後のグッドイヤー

しかし、ここが私の真骨頂です。人がなんと言おうと自分の勘と感を信じて決めます。こういう人生は楽しいですよ! 例によって近くのラウダというタイヤショップの跡取り息子に組み換えを頼みます。彼は私の無理をよく聞いてくれます。

タイヤを外してみて驚いたのですが、ディスクパッドもきれいに研磨してくれてあるし、ホイールハブも錆び一つありません。ル・パルナスの信頼の証でしょう・・・。25年も経っている車とは思えません。本当に箱入り娘だったことが分かります。

それはそうでしょう、エアコン完備のガレージだったそうですから。私の保管場所だって負けてはいません。タワーマンション地下のガレージですから、一年を通して気温差が幾らもありません。

車に乗り込む際に暑いとか寒いと感じたことは一度もなく、とても快適です。一時はこのCXとプジョー407とオペル・オメガの3台保有時は、さすがに女房の機嫌は最悪でした。ガレージ代だけでひと月に諭吉さんが10人飛んで行く上に、乗り手は私一人なのですからもっともです。

タイヤの組み換えは、私の加速度組立という理論に基づいて行います。ホイールとタイヤの相性、そして振動の抜けて行く方向を揃えて組み上げます。これは一般のタイヤの組み方とは正反対の考え方です。

普通はホイールとタイヤの重さが分散するように組みますが、私の場合は同じ軸上に揃えます。転がりと慣性の力を利用し、前へ前へ進みたくなるようにしてやるのです。

その私の必殺技を駆使しても、CXを手に入れてすぐの時には期待した効果は得られませんでした。だから春の車検まで殆ど乗ることもなく、車庫代だけが毎月35,000円ずつしっかり掛かるのでした。

車検時に全スフィアーを交換しても、シトロエン特有の乗り味には及ばず、もどかしさだけが残りました。ハイドロの乗り心地のコンディションの良し悪しが、否応なく私の脳内には刻み込まれているのです。

そうこうしていると志賀高原まで行く仕事が出来たので、CXで初めての遠出をすることにしました。関越道から上越道に入り軽井沢に差し掛かるあたりから、見る見る車の調子が上がって来たのです。シリンダー内のピストンの動きがスムーズになって来たのでしょう。

また、足回りも見違えるような動きを見せ始めました。ワインディングロードをスラロームテストをするかのような運転をしても、そのスタビライジング力は素晴らしく、横Gに引っ張られて車体が流れるようなこともありません。車に乗る楽しさを覚えるまでのレベルに到達しつつあります。

やはり車は常に乗っていなくてはいけないと感じました。私のつれない態度にこのCXは拗ねていたんだ! そんな風に思えるのでした。でも笑顔を見せてくれ始めたので可愛く感じています。

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