来島海峡S.Aに前回立ち寄った際、その直前に朝食を取った事を大いに悔やんだものです。今までに見た事の無い「鯛のお頭入りラーメン」が目に留まったからです。二時間後には楽しみな讃岐うどんが待っているし、如何ともし難いとは正にこの場面です。
千年松に次回来る時は朝食は頼まず、鯛ラーメンを必ず食べるのだ! と強く思いました。だから、来島海峡S.Aに着くや、迷う事無く"鯛ラーメン"を注文しました。朝早かったので、我々三人がレストランの一番客のようでした。
料理上手なおばさん達だというのが、その場の雰囲気から伝わって来ます。出来上がった"鯛ラーメン"をよく見ると、お頭丸ごとではなく、"かまの部分"でした。ちょっと拍子抜けしましたが、しかし、かまの部分は一番身が付いているところなので何の文句もありません。
カラッと揚がった証拠に、おいしさを誇示せんかの如く胸鰭がそびえ立っています。から揚げにしてあるのが勝負の決めどころと見ました。天麩羅にせよ、から揚げにせよ鯛を揚げ物にする事は滅多にありません。
ちなみに鯛の天麩羅は徳川家康の大好物であったそうです。以前千年松で出た事があるのですが、お腹一杯で食べれられず悔やむ記憶だけが私の脳裏に強烈に残っています。その悔いが二連荘で続いたものだから、ひと際食い意地が張っていた私なのです。
勿論、汁を最初に飲みます。
鯛のから揚げと三つ葉の香りとが相まり、
芳香! ここに極まれり!
正にそんな感じです。
西日本ならではの薄口醤油ですから、一般には醤油味というよりは塩味と言った方が近いかもしれません。この味を毎日味わえる西日本の人は幸せです。瀬戸内ならではの出汁の美味しさが口の中一杯に広がります。
さっぱり、爽やか、妙なる味わいと申しましょうか、そのわりに深みのある鯛の旨み成分が、いつまでも余韻を残しつつ、じわじわ〜と引いて行くのです。後口の良さは天下一品です。
値段は七百円ですが、三千円払っても食べたいと思わせるだけの旨さです。脳裏に焼き付いて生涯離れないであろう唯一無二の味は、お金に代えられるものではありません。
しまなみ海道を通る時は是非ご賞味下さい!
冥土の土産になる事間違い無しです!