第16回 音と音楽の違い・・・その3 |
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貝崎静雄(カイザーサウンド) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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● オーディオ専用ルームに勝る音の優れモノ | ||||||||||||||||||||||||||||||
音楽好きなら誰もが手に入れたいのが専用のオーディオルームでしょう。しかし、実際に作るとなると予算をそこそこで収めたようでも、下手をすると内装だけでも数百万円は掛かってしまうかもしれません。それも出来上がってみない事にはその効果のほどを確認する手立てはどこにもありません。遮音、不要共振対策、音響拡散、残響時間、音色の魅力等数え上げればきりがないほど問題点は沢山あります。 その中でも一番大切なのは、部屋の寸法比という問題です。美しく魅力ある響きを作り出すには、縦・横・高さのX,Y,Zで構成される3和音の問題点を基軸にして話を進めていかなければなりません。とはいえ、好結果に導いてくれる充分な理論が現時点では確立出来ていないのが実情です。 そんな博打的要素の高いリスニングルームに大金を費やすよりも、何十分の一の予算で確実に魅力ある響きの空間が手に入れられるとしたら音楽マニアとしてじっとしていられませんよね。その長さと音の良し悪しの関係を地道に研究しております立場の私として、今回是非お話したいのが「サウンドステーション」という名のスピーカーベースです。既に2年ほど前から販売していますが、この度使い勝手面を考慮に入れた上でマイナーチェンジを施しタイプUとしてお目見えします。 L,Rペアーで24万円のサウンドステーションをスピーカーベースに導入して頂くだけで、専用オーディオルームを作るより魅力あるを音を簡単に作り出せるのです。それも置くだけの物ですから、別の部屋にでも移設出来るのは勿論の事、引越し先にも簡単に持って行けるのですから一石二鳥どころか三鳥も四鳥もです。 その魅力ある音の秘密はカイザー寸法による絶妙な和音設計にあります。代表格のMサイズで表木は縦が630ミリ、幅が525ミリです。そのボードの厚さは31.5ミリで下の根太材の21ミリと合わせるとカイザー寸法の52.5ミリになります。また、根太材の幅に至っては63ミリですから表木との関係が1/10にあります。そしてその幅と厚みは1/2にあたる1オクターブ関係です。もちろん表木の材料には音色の美しいハードメイプルを採用していますが、根太材には振動減衰面でマッチングの良い米松を組み合わせております。 このように最初のスピーカーから発せられた音楽振動が、ピアノに採用されている共鳴弦の基本である52.5ミリの長さとイコール関係にしてありますから、自ずと部屋の床や壁に美しい響きの和音構成になるような影響を及ぼすのです。一気に音から音楽に変わります!。いわばドミノ倒しのような効果と思って頂ければ間違いありません。何事も最初が肝心です。従いまして、その強みは例え床が畳であろうと、カーペットであろうと、フローリングであろうと問題にする事はありません。 |
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● 「静的な電気呼吸」から「動的な肺呼吸」 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ステレオの音の出る仕組みは、音楽のエネルギーがCDプレーヤーやアンプの段階では「静的な電気呼吸」であったのに対して、空気を媒介としてスピーカーによって初めて「動的な肺呼吸」を始めるようなイメージにも取れます。これは胎内にいる時のへその緒を通しての胎児の呼吸法と、赤ちゃんとして誕生すると同時に肺呼吸に変わるのとそっくりです。 赤ちゃんに話しかける母親独特の「はいはい、どうしたの〜?、そ〜、よしよし」。このお尻上がりの呼びかけ言葉で赤ちゃんの鳴き声と本能的にハーモニーさせているのです。そうですね、これは言語誕生の瞬間に私達誰もが立ち会って来ている訳ですね。 このように両者を重ね合わせると、赤ちゃんがコンポであり、母体をリスニングルームに見立てて考えれば、リスニングルームの健康に留意しなければならないのは当然の事です。母親と赤ちゃんの関係のように部屋とステレオシステムは強く深い愛情でつながれた一体のものでなければなりません。そうです、皆さん素晴らしい音楽をご自分のステレオシステムから奏でたいのなら今より以上の愛情を注いでやりませんか?。 かすかな寝息から火山が爆発したかのように泣き叫ぶ赤ちゃんは天下無敵です。そんなピアニシモからフォルテまで受け入れられるような、デリケートかつダイナミックな音楽振動に対応出来るスピーカーベースがあったならと思いませんか?。強固や丈夫なだけでは駄目なのです。かすかな寝息まで逃さないセンサーとして作動するメカニズムを備えた物でなければなりません。その泣き声一つにも強弱とニュアンスに微妙な違いがあります。命の元になる水分を吸い上げる導管を残した無垢木を除いて、音楽のハートビートを表現出来る素材は無いと考えております。 |
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● 部屋の中で作られる音は全てリレーと同じ原理 | ||||||||||||||||||||||||||||||
陸上リレー競技でバトンを渡す側と受ける側がバトンゾーンの中で必ずその行為が成されなければならないのはどなたもご存知でしょう。両者の合計スピード値が最高に達する時点で受け渡しを実現するには大きなリスクが生じます。それを達成するには特に受ける側の判断が重要です。渡そうとする者は今にもエネルギーが枯渇しようかという失速気味状態で駆け込んで来ます。受ける側がその判断を誤ると失速と加速の関係は詰まったり、立ち止まったり、開きが生じたりして、ついにはバトンを渡せなかったという状態が発生します。 このバトンゾーンの中でスピーカーと部屋の織り成す最高ハーモニーポイントをつむぎ出す行為が両者のトップスピードに乗った理想状態でのバトンタッチと同じと思って下さい。これは両者の間で何度も何度も練習を繰り返して得られるものです。スピーカーをサウンドステーションに載せたからといって最高の音が約束されたわけではありません。 そうです、音も同じです。素晴らしい音楽再生を手に入れようと思えば繰り返し耳で探り当てる努力が必要なのです。その為に音の良し悪しを計るお手伝いをする「カイザーゲージ」が開発されたのです。この作業こそがステレオを最高の音で鳴らす最大のポイントになりますので、納得の行くまで慎重にやって頂きたいと思います。 |
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● 「カイザーゲージ」によるスピーカーのセッティング法 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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今現在スピーカーが置かれている任意の位置を基準に音を測ります。音を測るとは?即ちどんな音かを耳で感じ取る作業です。0.15カイザー(157.5ミリ)毎に音が良く感じる波のように繰り返す周期性を持っている事を提唱しているのが「カイザーウェーブ」なのです。 ・ 壁から測るのではありません 先ず初めにスピーカーの後ろでも前でもどこでも結構です。測りやすい所にカイザーゲージの青い山を合わせます。後でそこを起点に前後に移動させますので、どちらの方向にも青い波が3波ぐらいは測れるようにしておいて下さい。 ・ 本来はエネルギーの起点から スピーカーのコーンの付け根の近い所のある場所に、へそに相当するようなエネルギーの起点になるところがあるのです。これはスピーカー毎に位相軸が違いますので、特定する事が難しく測りにくい為に、測りやすい所から測って下さいと言っているだけです。映像のプロジェクターで例えて言うなら3波の光源軸に相当するように思って頂ければ結構かと思います。 ・ 正反対の音を必ず見つける 次にこのゲージの使い方、読み方を説明いたします。山に合わせ込んだところを仮に「夏」と思ってください。谷間になる前後の半波長の位置が「冬」と思ってください。この山と谷の音の関係は正反対の性格の音を示します。例えば低音が膨らみがちなのと、やせ細った低音の関係のように同じスピーカーなのに0.075カイザー(78.75ミリ)位置が前後しただけでまるで正反対の表情に変化するのです。高音を例に挙げますと寝ぼけたようで抜けが悪い音だったり、耳を刺すようなキツイ音だったりします。 |
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・ 正反対であっても良く似た春と秋 同じ半波長ずらしてもほとんど音の変化を感じない場合もあります。それは貴方の耳が悪いのではなく、「春」と「秋」のように季節が似ているのです。こうして最初の位置が春若しくは秋に近い所に置かれているとしたら、更にその半分、即ち1/4波長のところに大きな音の違いとなって感じる「夏」と「冬」が存在しているのです。この2パターンを試みて頂ければこの4ヶ所の中に理想に近いと感じるポジションが必ず見つかるはずです。 |
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● ピアノの調律ともそっくり | ||||||||||||||||||||||||||||||
この行為は、あらゆる曲調に対応出来るために平均率を取った上で辻褄合わせをするピアノの調律ともそっくりです。それはその部屋の縦横比であったり、置かれている場所や家財道具による響き方の違い等と合致するものです。そうした沢山のファクターを考えると何から手を付けてよいのやら分らなくなるでしょう。間接因子も含んだ上での音として認識している事を知識としてぐらいは知っておいて頂きたいのです。 |
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● サウンドステーションを実際に導入されたお客様の声 | ||||||||||||||||||||||||||||||
・ 三重県 J.U様 貝崎様に組立てセッティングして頂いたサウンドステーション上のB&W802から出てくる音楽は、今迄以上に響きが豊かで、高橋真梨子のボーカル、シェリングのVnが、パワ−の有る凄いスピードで耳に届くのです。それは、速球投手の伸びの有るストレートがホップする感じです。岡城千歳のワーグナー(ピアノ編曲集)を聴いた時、段々小さく消えていく音符。弱音の美しさを感じることが出来ました。サウンドステーション導入は大成功!!です。 ・ 山口県 Y.I様 「サウンドステーション」をセッティングしていただいて以来、これまでとは全く異次元の、ただならぬ音楽世界が広がるようになり、低音がどうとか、高音がどうとか、もはやそんな話題などどうでも良くなりました。それよりも、ピアニシモの魅力です。それも、クライマックスに達した後の弱まって消え行くようなピアニシモ。こと、クラシック音楽について言えば、無駄な一音は一つも存在しないのですね。 |
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A&Vvillage 9月号 第69号 P76〜P77に掲載されています。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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