戦後における外交・防衛・教育・その他多くの重要な国策の根本にあるものは歴史観です。「あの戦争」をどう見るかによる国家観の相違が政策の方向性を左右しています。
GHQの中心であったニューディーラー(米民主党左派)による占領憲法押し付け、日本国民に罪悪史観を植えつけるためのWGIP作戦(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)に端を発し、その東京裁判史観(いわゆる自虐史観)を戦後長年に亘って巧妙に利用してきたのがソ連・中国・南北朝鮮および国内左翼勢力でした。
外国と通謀ないし思想共鳴したる左派マスコミや日教組など、この国内左翼勢力(あえて反日的勢力と呼びましょう)は自虐史観を利用したプロパガンダを以って日本国民を惑わし誤導し、日米安保に反対し、自衛隊に反対し、米軍基地に反対し、核武装に反対し、憲法改正に反対し、対中謝罪外交を行うように仕向け、中国が日本を弱体化するための対日戦略に加担してきたのです。
その結果、この自虐史観に由来する軍事アレルギーによって日本の防衛力は手足を縛られて封じ込められ、片や異常な軍拡を続けた中国は今や尖閣のみならず沖縄までも奪取せんとする意図を隠そうともしていません。その国力において、アジアで中国の覇権主義に対峙できる唯一の国は日本です。
もしもその日本が尖閣を中国に奪われるような事態になれば、台湾やASEANなどアジア諸国は総崩れで中国の覇権下に呑み込まれていくことでしょう。もはやアジアには中国に対抗できる国家はなくなり、中国共産党がアジアと太平洋半分を支配する暗黒の時代が幕をあけるのです。つまり尖閣防衛は日本一国の領土問題ではなく、アジア全体の平和と自由と未来を守るという側面も含まれているのです。
かつて日本は欧米帝国主義による植民地支配からアジア各国を解放するために戦いました。それは当時アジアで唯一の大国であった日本の使命でもあったのです。そして今、かつて日本が独立に加勢したアジア諸国を、「遅れて来た帝国主義」である中国の覇権主義から守る防波堤になること、それが現在の日本の使命だともいえるでしょう。これは地政学的に日本の宿命であり義務でもあるのです。現在アジア諸国は日本が中国の覇権膨張をくいとめる最後の砦となるか否か固唾を飲んで見つめています。
米国においても、日本とともに中国との冷戦を戦う決意を持つ政治勢力と、中国に迎合して日本を切り捨てようとする政治勢力があります。前者が日本に望んでいることは、集団的自衛権の解釈変更による日米同盟の双務化・対等化です。
日本の採るべき国家戦略は、集団的自衛権行使を可能とすることで米国との同盟を揺るぎないものして、伝統的に日本重視の米国共和党勢力との連携を深化させつつ、インド・台湾・ASEAN・オーストラリアなどの自由主義国と安全保障及び経済における実質的同盟を構築して対中包囲網をつくることでしょう。実はこの自由主義国による対中包囲網形成という国際戦略を実行しようと試みられていた戦後唯一の政権が安倍政権だったのです。
また韓国は竹島や反日史観など色々と厄介な問題はあるものの、地政学的にどうしても対中包囲網構築には不可欠な国であり、対中国とは異なる戦略的視野でのスタンスを保つ必要があるでしょう。中国の覇権拡大を阻止するためには、米国の同盟国であり自由主義国である韓国は対中陣営に絶対必要なのです。
いわゆるネトウヨ(ネット右翼)と呼ばれる層の一部には在日韓国人へのレイシズムを煽ろうとする人たちがいます。彼らは「日韓断交せよ」「安倍氏は韓国に甘い」などと非難することがよくありますが、それは地政学的戦略における朝鮮半島の持つ意味をまったく理解していないからです。安倍氏はこの地政学的観点のパワーバランスを十分に理解された上で、真の国益となる外交を進めようとされていました。
その日韓の喉元に刺さった骨は河野談話であり、これがあるかぎり今回のような日韓の諍いは永久に続きます。争いの火種は残り続け、それは韓国のみならず国際社会全体に伝播されて日本の名誉を損ないます。今ここでくいとめないと子々孫々にいたるまで日本人は「性犯罪国家」の汚名をきせられます。
そしてそれは中国が対中包囲網を切り崩すためのプロパガンダ攻撃の材料に利用されるのです。現に日米離反を目的とした米国下院における非難決議は中韓ロビーが暗躍した結果です。たとえ韓国との間に一時的に大きな摩擦が生じようとも、日本は中長期的な国際戦略のためにも河野談話はなんとしても撤廃しなければなりません。自民党総裁選候補者の中で河野談話を修正する意思を明確にされているのは安倍氏だけです。
国防精神の原点である「英霊への国家的感謝」を示すには、靖国神社への首相の参拝は極めて重要です。靖国参拝は単なるパフォーマンスではなく、国家を護るために命を捧げた兵士を讃えるという万国共通の国民精神の復興、そして日本は決して中国の内政干渉に屈する属国にはならないという主権国家としての意思表明なのです。
小泉首相の参拝について米国の知日派であるアーミーテージ元国務副長官は「中国が反対するかぎり参拝をやめてはならない」と述べています。いかなる国でも常識であるところの戦死者への国家的感謝、その主権的行為を許さないという中国の非常識な要求は、中国が日本を精神的従属下に置こうとする戦略の一環なのです。
中国の圧力で首相が靖国参拝できないということは、日本の主権が揺らいでいるということなのです。これは国際戦略の観点からみても「日本は中国に弱い」とうイメージを諸外国に与え、対中包囲網の構築に支障をきたします。万一尖閣で中国との軍事衝突が起きたときに、その戦闘で戦死した自衛隊員が祀られるのは靖国神社です。
靖国に参拝しない首相が最高指揮官として自衛隊員に防衛戦闘を命じる資格はありません。安倍氏は前回の政権の際に参拝のタイミングを逃したことを何よりも深く悔悟されており、もう一度政権を得られれば必ず参拝するとの意思を示しておられます。総裁選候補者の中で参拝の意思を示しておられるのは安倍氏一人です。
日本はこれまで中国や韓国との軋轢をおそれてひたすら平身低頭する土下座外交を続けてきました。中国には膨大な経済援助を与え、ご機嫌を伺って謝罪を続け、尖閣諸島の領有権までも棚上げにして媚びてきました。その結果が今日のこの状況を招いたのです。この土下座外交・自虐史観外交によって失った国益の大きさは計り知れません。 長年我慢に我慢を重ねてきた日本国民の怒りはもう限界に達しようとしています。今回の反日暴動をうけて、これまで中国に傾倒していた日本企業もインドやASEANに拠点をシフトしようとしています。 一方、中国においても江沢民による反日教育で育った世代が社会の中心になっており、過激な反日的民族主義が台頭しています。これから日本と中国との間で本格的な冷戦が起こることは避けられません。首相や閣僚や政府要人の立場からはそれを公に口にすることはできないでしょうが、日中冷戦はすでに始まっているのです。
勿論いたずらに対立を煽る必要はなく経済面などは是々非々の関係でよいのですが、日本は「日中友好」という甘い幻想を捨てて中国との冷戦を勝ち抜く覚悟を決めなければならないでしょう。東アジアの中で大陸国と海洋国が同等の国力を持つようになったとき、パワーバランスのせめぎあいによる戦いが生じるのは地政学的宿命なのです。
日中が互いに国際包囲網の構築を競い合うこの冷戦に必ず勝ち残って日本の繁栄を守るという強い意思、それが安倍氏の主張されている対中「戦略的互恵関係」のベースにあると私は感じています。その意思は、中国ではなく日本こそがアジアの代表であるべきだという「アジアゲートウェイ構想」に如実に示されています。
幾つかの事例をとりあげましたが、このような日本の死活的な国家的命題を正しい戦略・戦術で実行していけるのは、安倍元総理しかおられないと私は確信しています。それは防衛や外交も含めての「戦後体制」の根底にあるものが自虐史観であることを、安倍氏は誰よりもよく理解なさっておられるからです。 小手先の政策をいじったところで根元を変えないかぎり「戦後体制」からの脱却はできません。そして近年の国際情勢を鑑みれば、日本がもはやこれまでの「戦後体制」のままでは国家が存続しえないというシビアな現実を如実に示す光景が繰り広げられています。「戦後体制」を終わらせて新しい日本をつくっていける指導者は、「戦後体制」の根幹たる自虐史観の悪影響を熟知されている安倍氏だけなのです。
また安倍氏は経済政策においても、野田首相や他の多くの政治家のように財務省の傀儡にはならず、中長期的な国益を見据えた正しい認識を持っておられます。日本経済を苦しめているのはデフレ不況(および超円高)であることは論を待ちません。この最大の原因はひとえに日銀のデフレ容認志向とその無策さにあります。
リーマンショック以降、米国や中国は大量の量的緩和を実施しているのに、日本だけが頑なに金を刷らないのです。日銀の言い分は「インフレが怖い」ということであり石破氏も同様の発言をされていますが、デフレで日本経済が死に掛けている最中にインフレの心配をするなど愚の骨頂でしょう。
適正なインフレターゲットを定めればいいだけのことで、適正なインフレ率すら達成できない無能な人物には日銀から去ってもらうべきです。日銀のこの愚かなデフレ容認策のせいで市場にお金がまわらず、融資を受けたい企業には資金が流れず、モノが売れず、給与はどんどん下がります。この悪循環のスパイラル構造を打破してデフレ脱却するには思いきった超大型量的緩和が不可欠です。
日銀が抵抗するなら日銀法改正も視野に入れるべきでしょう。このデフレ不況の真っ只中で増税先行とは狂気の沙汰としか言い様がなく、例えるならば瀕死の病人の点滴をとりあげるようなものです。野田政権の行っていることは、デフレに苦しむ国民からなけなしのお金を搾り取って消費を縮小させ日本経済を破滅に追い込む愚策です。
財務省は国債の国際信用云々ばかり強調しますが、日本の場合は95%以上を国民が保有しており、こんなものは国内での右から左への移動の話にすぎません。不況下での増税は結果的に国の税収をも減らすだけです。税収を増やして財政収支を黒字化したいなら、デフレを脱却して名目GDPを増やすしか方法はないのです。
小泉政権発足時にマイナス28兆円だったプライマリーバランスは、安倍政権時代にはマイナス6兆円にまで縮小していました。安倍氏は無駄な出費を徹底的に削ることで増税なしにこの数値にまで財政収支を改善させることに成功されたのです。しかしせっかく安倍氏が改善したプライマリーバランスは民主党政権の無能なバラまきを経て今やマイナス17兆円近くにも達しており、野田政権はその帳尻あわせのために増税を強行しようとしているのです。
財務省は中長期的な経済成長戦略よりも、とかく目先のプライマリーバランスだけを重視する傾向があります。愚鈍な野田氏はすっかり財務省に手なづけられて「増税に政治生命を賭ける」などとのたまい、日本経済を自滅に追い込もうとしています。街頭演説会で群集から「帰れ!」というコールが沸き起こるのも当然でしょう。
「デフレ脱却なくして増税はしない」と宣言された総裁選候補者は安倍氏ただ1人です。安倍氏は正確に国家経済の本質を見抜き、同時にもっとも国民に近い目線で経済を考えておられるのでしょう。もちろん単に量的緩和だけでは市場にお金が行き渡らない可能性があるので、来る大震災に備えての国土強靭化や技術革新のための成長戦略を立てて財政出動することが不可欠です。
無用のハコモノを建てるような公共事業ではなく、日本の経済成長につながる投資として実行すればよいのです。そのために安倍氏は日本の英知を結集しての「日本経済再生本部」を立ち上げると公約されています。これらの政策からも日本経済を立て直すことができるのは安倍氏だけであると私は確信しています。
安倍氏に経済再生の遂行能力があることは、安倍政権当時に急速に景気回復が進行しかけていた事実によって裏付けられます。安倍政権下の平均株価最高値は1万8261円、これは今世紀に入って最高の数値であり、現在の野田政権下の平均株価の2倍以上です。
もしも安倍政権があのまま続いていれば、日本はデフレを脱却し景気は良くなり財政収支も健全な状態に到達していたことでしょう。国民は選択を誤りました。安倍政権の終わりによって日本人が失ったものはあまりにも大きいのです。
これほどまでに優れた政治家である安倍氏がなぜ僅か1年で辞任に追い込まれることになってしまったのか。かつての安倍政権時代、朝日新聞を筆頭とする左派マスコミによる安倍政権攻撃のネガティブ・キャンペーンは目を覆うほど酷く偏向したものでした。
それまでマスコミが問題視すらしていなかった事務所費などの些細な件を針小棒大にとりあげて騒ぎ立て、やれ絆創膏だの何だのと馬鹿みたいなことで連日狂ったような反安倍政権キャンペーンを展開しました。朝日を始めとする左派勢力にとっては、彼らがこれまでつくりあげてきた「戦後体制」(自虐史観、占領憲法崇拝、謝罪外交、対中従属主義、官僚利権など)を根底から否定する改革者など絶対に許せなかったのでしょう。
とりわけ「従軍慰安婦の強制連行」なる虚構を捏造した朝日新聞は、強制連行を否定する安倍氏を潰さなければ自らが日本国にとんでもない冤罪をきせた悪行がばれることも怖れたのでしょう。竹島を韓国に譲ってしまえと放言したこともある朝日新聞某幹部は「安倍叩きは社是」と言い放ったそうです。
左派マスコミの異常な攻撃で自殺に追い込まれた松岡農水相は、日本農業を国際的に高付加価値のある輸出産業に育てようという安倍氏の理想をうけて、農水のプロとして優れた交渉能力を発揮した方です。日本農業を強い競争力のある産業に育てることが国益であり、事務所で還元水を使うかどうかなどどうでもいいことです。
しかし理想に燃える宰相のもとで政治家としての本懐を果たそうと懸命に取り組んでいた松岡氏にとって、マスコミの安倍政権攻撃の材料に自身が利用されることは耐えられない思いだったのでしょう。
これはあくまでも私個人の推測ですが、あのとき松岡氏に胸に去来したものは大平首相の急逝によって自民党が圧勝した昭和55年の総選挙だったのではないでしょうか。ともに国家再生を目指した同志たる安倍首相に迷惑をかけたことを激しく悔い、自死をもって償いを表明することで国民の同情票によって参院選の自民党勝利を期待されたのではないかと思うのです。
その想いは松岡氏の遺書「残された者達には、皆様方のお情けを賜りますようお願い申し上げます」「安倍総理 日本国万歳」という一文に表れているような気がします。松岡氏は安倍政権を守ることが日本の未来を守ることになると理解しておられたのでしょう。自らの命と引き換えに日本の未来を守ろうとされ、それが政治家として最後の国家へのご奉公なのだと、そのように思い詰められたような気がするのです。松岡氏もまた日本を心から愛する国士だったのでしょう。
しかしながら一人の人間を死に追い込んだ左派マスコミは反省の色すらなく。「死者に鞭打つ」というシナ流の醜悪なバッシング報道を行い、松岡氏の遺志とは反対に選挙で不利になる逆効果を招く結果となってしまいました。人一倍情に厚いといわれる安倍氏の受けた精神的打撃は想像するに余りあります。
このとき安倍氏は松岡氏の葬儀になんとしても出席したいと希望されましたが、民主党は嫌がらせで党首討論の延期を認めませんでした。政局云々以前に人としての思いやりすら持ち合わせていない小沢氏に国民の生活への思いやりを口にする資格はあるのでしょうか。
安倍氏を攻撃した「戦後体制」は左派マスコミだけではありませんでした。安倍氏が目指した理想の中には、官僚利権構造の改革、そして官僚による政治支配の打破も含まれていました。官僚が何度も天下りを繰り返しては国民の血税から高給や高額退職金をせしめているような状況を安倍氏は是としませんでした。
現在「みんなの党」などが官僚制度改革を訴えていますが、党首の渡辺氏は安倍政権の行革担当大臣であり、この行革は元々は安倍政権が目指したものでした。官僚の抵抗を押し切ろうとする渡辺氏の勢いを後ろで支えていたのは安倍氏なのです。
戦後日本においては、内閣が何かを決定しようとしても前日の事務次官会議において反対意見がなかった案件のみが閣議にあげられるという、「慣例」という名目の官僚による政治支配が数十年も続いてきました。選挙で選ばれたわけでもない官僚が勝手に国策を左右しているのが戦後政治の実態だったのです。
天下り規制をめぐる事務次官会議では反対意見が多く、「慣例」では閣議にあげられないはずでしたが、安倍政権は初めて事務次官会議を通さずにこれを閣議にかけました。戦後歴代政権のいずれもがしり込みして手を出さなかった官僚による政治支配に初めて風穴を開けられたのです。これが政治主導ということです。これこそが政治のリーダーシップなのです。(ちなみに「財務省の操り人形」といわれる野田首相は、現在この事務次官会議を復活させています。)
しかし官僚利権を崩し、官僚による支配を拒否した安倍氏に対して、官僚はサボタージュを含めたクーデターを起こしていきました。年金問題などは安倍政権誕生以前の社保庁の怠務であったのに、なぜか安倍政権の失態であるかのように摩り替えられ、社保庁はまるで自爆テロのように自らの不祥事をリークして安倍政権批判の餌をマスコミに与えました。既得権益の改革に挑んだ安倍氏は、既得権益を守りたい抵抗勢力からの総攻撃を受けたのです。
安倍氏は崇高な理想のもと憲法改正を掲げて「戦後体制」からの脱却を志し、官僚利権や官僚による政治支配を改革しようとされ、中共の苛烈な対日戦略に怯むことなく対中包囲網形成をもって果敢に対抗され、拉致された日本人を最後の一人まで救うことに執念を燃やし、経済においても21世紀に入って最高の平均株価を達成され、ごく短期間のうちに戦後歴代のどの首相も手をつけなかった教育基本法改正・防衛庁の省昇格・国民投票法成立・その他多くの実績を重ねられました。失政と呼ぶに値するようなものは何一つなかったのです。
しかし、この稀代の改革者たる宰相は、その功績すらまともに評価されずに左派マスコミに扇動された大衆の罵声と嘲りの中で難病に倒れ、無念の退陣に追い込まれてしまったのです。安倍氏が首相を辞任された日、ある意味において日本は未来への希望を一旦閉ざされてしまったともいえるでしょう。
あれから5年、まさに「戦後体制」の最後の悪あがきともいうべき民主党政権による社会実験の大失敗を経て国民も賢くなりました。安倍氏の総裁選出馬により左派マスコミによる誹謗キャンペーンがまたしても再開されています。
しかし安倍氏の街頭演説では群集の歓呼の声がひときわ大きく沸きあがり、インターネットではどの候補よりも安倍氏を待望する声が圧倒的に大きくなり、「国民の手で安倍さんを守ろう」という掛け声が飛び交っています。
最も投票件数の多いヤフーのアンケートでは安倍氏支持が過半数を超え、他の候補者に比べて圧倒的多数の支持を得ています。5年経ってようやく国民の多くも、日本にとって誰が本当に必要なリーダーであるかという現実に気付き始めたのでしょう。
左派マスコミは今も執拗に「政権を投げ出した」などと安倍氏を誹謗しています。安倍氏はどこかのルーピー首相のように気楽にあっさり政権を投げ出したのではありません。たとえ病に倒れたとはいえども、壮大な理想を追い求めた志の半ばにて不本意な辞任せざるを得なかった安倍氏の悔しさと無念さはいかばかりのものであった事でしょうか。安倍氏は体がボロボロになってもなお首相として戦いを続けようとされました。
ウィルス性大腸炎も併発され、命の危険すらあった状態でも安倍氏は理想の実現のために続投しようとされました。「このままでは安倍総理が死んでしまう」と思い詰めた秘書の方々が泣きながら土下座して安倍氏に首相辞任を懇願したそうです。決して左派マスコミが「無責任イメージ」の流布のために連呼する「お坊ちゃまがおなかが痛くて政権投げ出した」などといった軽々しいものではなかったのです。
あの辞任はまさに苦渋と断腸の思いでの決断であったのです。そして、むしろ「病気の身では総理の職責を果たせない」という判断こそ、地位に恋々としがみついたどこかのお遍路首相に比べれば極めて真っ当な責任感なのではないでしょうか。
挫折を経験した人は二種類に分かれます。挫折に負けて挫けてしまう人、そして挫折をバネにして新たな決意で挑戦する人です。挫折を乗り越えて立ち上がった人は誰よりも強いのです。
安倍氏には「元総理」という肩書きで残りの政治家人生を安穏と過ごすという選択肢もありました。個人の人生としてはそれがもっとも楽な選択であることは明らかです。再登板を目指せば左派マスコミがふたたび狂ったように攻撃するであろうことは目に見えています。バッシング覚悟で自ら燃え盛る炎の中に飛び込んでいくことは並大抵の決意ではできません。
しかし安倍氏はその決意をされたのです。それは政治家として日本の未来を憂うる純粋なる愛国心であり、やり残したことを完成させたい、衰退する日本をもう一度甦らせたいという強い使命感なのでしょう。
これほど一途な真っ直ぐな政治家がこれまで他に存在していたでしょうか。否、私の知る限り安倍氏しか存在していません。挫折を乗り越えた強さと堅い決意と大きな使命感を持つ安倍氏であれば、日本を変えられる、日本を甦らせることができると私は信じています。
なお、他の候補者についても若干私見を述べたいと思います。(なお、これはあくまでも一国民である私の個人的な主観による論評であることをお断りしておきます。)
まず私は石破氏については政治家としてまったく評価していません。むしろ日本の再生にとっては有害な存在であると認識しています。石破氏の思想は自虐史観がそのベースにあるからです。石破氏はよりによって防衛大臣室に人民日報の記者を招き入れて、虚構のプロパガンダにすぎない慰安婦強制連行や南京虐殺を事実だと言い切り、「日本は中国に謝罪すべき」と主張されました。
石破氏の思想の根底にあるものが中国への贖罪観念である以上、いたずらに憲法改正だの国防軍創設だのと口先で勇ましいことを吹聴しても、その政策を中国から咎められると逆コースへと後退させていく危険すらあります。
そもそも当の相手に謝罪しながら「強い外交、強い防衛」など実現できるわけがありません。中国の反日戦略の要ともいうべき自虐史観から目を覚まさないかぎり、石破氏が首相になることは百害あって一利なしでしょう。
また「経済オンチ」といわれる石破氏の経済政策なるものは非常に不明確なのですが、その発言をみるかぎりデフレ維持・緊縮財政・増税優先が柱となっており、この経済状況の中でそんな愚かな政策を進められれば日本経済は壊滅します。中国との冷戦に勝つ前に日本が自滅してしまいます。
石破氏は外国人参政権についても賛成したり反対したりとブレまくりで、言論弾圧につながる可能性が高い人権救済法案にも賛成し、さらに靖国神社への参拝も行わないと発言されています。
「慰安婦強制連行は事実」と主張されている以上、河野談話に手をつける意思もないでしょう。防衛面だけはタカ派のような主張を唱えてはいるものの内政面においては旧態依然とした左翼的リベラル思想の持ち主だと判断せざるを得ません。石破氏を推薦した議員の方は自らの勉強不足を恥じていただきたいと思います。
そして「防衛通だから」などいう単純な理由で石破氏を支持している党員の方は、経済はどうでもよいのか、子々孫々にまで汚名をきせる河野談話はこのままでいいのか、対中包囲網の構築も含めての日本の中期的未来についてもう一度よく考えていただきたいと思います。
石原伸晃氏についてはご本人よりもお父上に対して「あなたは息子にどんな教育をしてこられたのですか?」と尋ねたい思いです。慎太郎氏はスパルタ教育などと言っておられましたが、過剰にスパルタをやりすぎたせいでこんなにも周囲の顔色を伺ってばかりの萎縮した子供になってしまったのでしょうか。
「中国は尖閣に攻めてこない」「国有化する前に中国と相談するべきだった」という発言にいたっては、お父上への反抗期が今頃訪れたとしか思えません。代議士を辞してお父上の秘書にでも転身して10年ほど勉強されることをお勧めしたいです。
町村氏はこれまでの政治姿勢は保守政治家として大変優れたものであったと思います。中国に媚びない外交、日教組の偏向教育と戦う姿勢など、私は町村氏の政治姿勢を非常に高く評価しています。そして何よりも町村氏は自虐史観こそが日本再生を阻害する最大の問題であることをよく理解しておられます。候補者5名の中でこの本質を理解されているのは、安倍氏と町村氏のお2人だけだと私は感じています。
しかしながら急の病にて遊説継続困難となってしまわれた以上、あえて私情を超越し国家再生の大計のために安倍氏を支持していただきたいと切に願います。そして一日も早く快癒されて重要閣僚として手腕を発揮していただきと思います。
現在、総裁選候補者の演説会の映像がYoutubeなどにアップされています。私は石破氏の陰気な説教調の演説を聞くと、暗澹たる気持ちになり日本の未来に絶望感を感じます。石原氏の薄っぺらい空疎な演説を聞くと、お父上の教育方針に対して文句を言いたくなります。しかしながら安倍氏の明るく自信に満ちた演説は、国民に勇気と夢と希望を与えてくれることを実感します。日本人は今まさに安倍氏のように国民を奮い立たせてくれる指導者を求めているのです。
これからの日本を待ち受けるのは厳しい時代です。日本を併呑する長期戦略を描く中国の対日攻勢は、習近平政権が誕生すれば一層苛烈さを増していくでしょう。尖閣海域における中国との軍事衝突も起こりうる可能性があります。中国が台湾に軍事侵攻する可能性も無いとは言い切れません。北朝鮮のクーデターによる軍事的暴発も十分にありうるシナリオです。
また首都直下大地震や南海トラフ大地震も遠からず必ず発生します。内閣府の予測では南海トラフ地震の死者は32万3千人とされていますが、立命館大学歴史都市防災研究センターの高橋教授の説では最低47万人以上となり最悪では350万人にも及ぶ可能性も指摘されています。想像を絶する巨額の経済的被害も伴うことでしょう。
長年の日銀の無策による慢性デフレのせいで力を落とし、国際競争力が下落の一途をたどる日本経済の立て直しも大変です。そして少子高齢化によって現役世代の減少がどんどん進行しつつあります。日本の未来はお先真っ暗なのでしょうか。このまま日本は衰退の一途をたどるのでしょうか。
しかし絶望する必要はありません。日本には最後の切り札があるのです。それが尖閣の海底に眠る油田です。推定される埋蔵量は1千億バレル、これは世界2位といわれるイラクの埋蔵量に匹敵し、金額に換算すれば7千兆円になるともいわれています。
この推定値よりも少ないだろうという別説もありますが、メタンハイドレートや天然ガス、レアメタルも膨大な量が存在することは間違いないのです。さらには佐渡沖や千葉県沖にも膨大な天然ガス田が存在しており、これまで資源小国だといわれていた日本は実は海洋資源大国であったことが判明しています。
ハードカレンシーの地位を保っている現在の経済力、今なお世界の最先端をゆく技術力、それに加えてこれらの天然資源を日本が輸出できるようになれば、日本の国力は一気に蘇ります。貿易は超黒字となり、GDPは再び中国を追い抜きアメリカに迫るものとなるでしょう。
なにしろ日本のような先進経済大国が同時に世界有数の天然資源保有国になるという事態は人類史上初めて生じる事態なのです。これが実現すれば、かつてないほど繁栄に満ちた黄金時代が日本に訪れます。もはや社会保障の財源だの増税だのと騒ぐ必要すらなくなるのです。日本はアジアの秩序を維持するスーパーパワーを築き、アジアの平和と安定を牽引する超大国になるでしょう。
尖閣の海底には日本の限りない可能性が埋まっているのです。だから中国は何が何でもこれを強奪しようとしています。もし尖閣が強奪されれば、石油やメタンハイドレートなどの資源も中国のものとなります。
そしてもう1つ言えることは、尖閣は地政学的にみても軍事的に絶対的な鍵を握る要衝だということです。万一ここを押さえられてしまえば、天然資源に満ちた広大な領海も失われ、日本の生命線である海上輸送ルートは遮断され、日本は本土の防衛すら危うくなるでしょう。尖閣を奪った中国は強大なる「中華大帝国」をアジア太平洋に築き、日本は悲惨な没落の果てに百年後には中国の自治区に落魄れているかもしれません。
尖閣とはまさに日本の輝ける「未来」を象徴するものであり、資源大国としての日本復活の切り札なのです。いかなる手段を用いても中国の侵略から尖閣を護り抜き、そして一日でも早く開発・試掘に着手しなければなりません。
中国が本気で軍事的手段で尖閣を奪取しようとする可能性がある以上、最大の抑止力となるのはアメリカとの安保同盟です。ルーピー政権のせいでそれが揺らいだからこそ、現在中国はこのような攻勢に出ているのです。揺らいでしまった日米同盟を立て直して不動のものにするためには、集団的自衛権行使の解釈変更が急務です。そして自衛隊を正式な国防軍と位置づける憲法改正を一刻も早く成し遂げなければならないのです。
日本が外国に戦争を仕掛けることなどありえません。しかし侵略され攻撃を受けた場合は、戦うべきときには戦わねばならないのです。そのためには自衛隊を正式な軍隊として再定義し、度をこえた専守防衛を国際常識に沿ったものに改革しなければなりません。
防衛予算は減額の一途をたどっていますが、これも中国に対する誤ったメッセージとなっています。このような状況に至った以上は防衛予算の増額は不可欠なのです。中国が日本の「未来」を力ずくで奪いにかかっている今、日本に残された時間はもうほとんどないのです。
中国が歴史認識をめぐるプロパガンダ攻勢で揺さぶりをかけても動じない人物、鋼鉄の意思で中国との冷戦を勝ち抜くことができる「日本のレーガン」が必要です。それは安倍氏をおいて他には誰もいないと私は確信しています。
デフレを脱却して力強く経済を成長軌道に乗せ、尖閣を守り抜き、自虐史観による謝罪外交と訣別し、官僚による政治支配から脱し、日米同盟を不動のものに昇華せしめ、国民自らの手で自主憲法を制定し、「戦後体制」の間に失われた多くの大切な価値観を取り戻し、日本の将来に対し暗澹たる不安にかられている国民にもう一度明るい夢と目標と自信と勇気を与えてくれる指導者、それは安倍氏以外には考えられないでしょう。
安倍氏こそが日本に残された最後の希望です。第二次安倍政権が誕生すれば遂に日本に真の夜明けが訪れるでしょう。「日本再起」の新しい朝が始まるのです。
(平成24年9月23日記)