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赤ちゃんの笑顔の力


   毎年お盆が近づくと原爆に関する話が多く出てきます。車を運転している時ラジオからある被爆者の話が一際鋭く私の耳に突き刺さるように入ってきました。それは赤ん坊を抱えたまま生きて行く気力を失い、その子の首をしめて心中しようとした話でした。首にひもをかけて締めようとした時にその子は母親が遊んでくれると思ったのか、またそのひもがくすぐったいのかケラケラ笑うのだそうです。その瞬間、「なんて事をしようとしているのか!わたしは?」・・・ふっと我に返ったそうです。


   そしてその後何十年経った今、その息子を前にして初めてそのことを口にし、

      「すまんかったのう・・・」
      「わるかったのう・・・」
      「ゆるしてくれ〜のう・・・」。

   それを聞いた息子は、

      「そんな事はどうでもええ事じゃ」
      「今僕はこうして生きとるんじゃけ〜」
      「ただそれでええんよ」。

   これでやっと胸のつかえが取れました。その母親のその言葉がほんとに安堵したようでした。

   話の途中で既に私は家に着いていたのですが、しばらく車の中にいました。


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