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栃東の綱とりなるか?


 張られても張られても我慢し、あごを引き締め、最後には自分の形にもっていき正攻法で寄り切る。ここのところ真の実力を身につけてきたのが分かります。それは新大関での優勝が何より物語っております。関脇と平幕を何回か繰り返し、いい時に限って怪我をしたりしていたので、一時はお父さんと同じ名関脇で終わるのかな?という気がしないでもありませんでした。

 しかしその取り口は絶対に立会いに飛んだり引いたりすることをしない、けれんみの無い正攻法相撲ですから、見ている者に「清々しさ」や「爽やかさ」を与えます。体格には決して恵まれてはいませんが、身体の芯から出て来る力は想像以上に力強そうです。きれいな土俵態度、また彼の目は黙して何をか云わん・・・。強い者のみぞ持ち得る優しい目です。

 今伸び悩みの先輩大関達や横綱貴乃花の長期休場と上位陣が弱体化している時だけに、栃東は一気に横綱に駆け上がりそうです。この栃東の相撲に取り組む姿勢からは感動すら覚えます。また、「心・技・体」と静かに鍛えたその姿からは、世界に誇れる「武士道」=「日本の美学」を見ているようもあります。


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