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初めて”美味しいそば”に出会った

 
 東京試聴室に使う家具類を調達するのに、徒町(おかちまち)にある紫色に塗られたビルで有名な多慶屋という雑貨屋さんに行きました。安いのなんのって!、その安さには驚きものです。店内には芋の子を洗うほどの人、人、人の波です。

 ひととおり、ソファー、テーブル、机、椅子と買い物を終え、最後にカーテン売り場で店員さんと二言三言会話を交わしました。「1日に100件くらい売るんですか?」とお訪ねすると、「ハイ、丁度そのくらいです」と、ひょうひょうと答えるではありませんか。

 何とも憎たらしいくらいに、そしてまた、追い討ちをかけるように、こうのたまうではありませんか。「1人当たり売上日本一、そして、坪当たり売上日本一ですから」と、そして、冗談ぽく・・・、「うちは道路まで使って売りますからね!」。正確な社員数はちょっと忘れましたが、200人か300人かで500億円売るそうです。ざっと一人で年間2億円の売上になります。

 妻と息子と3人で凄いね〜と感心しながら、「今日はよく歩いたから食事でもして帰ろうか?」と言って目に付いたのが、交番の隣のビルの地下にある、「吉仙」というそば屋の看板です。なんとなく美味しそうな予感がしました。


 うどん別腹とまで言われる文化の中で育った四国生まれの私は、今までにそばを食べて美味しいと思った経験がありません。もっとも、好きではありませんでしたから多くを食べた経験がないことも理由のひとつなのでしょう。

 息子は「鴨せいろ」、私は「穴子天そば」を注文。25センチはあろうかという大きな穴子の天ぷらが器から空高くそびえています。一口食べたとたんに、つい、大声で「うまい!」と、大きな声を発してしまいました。また、そこの女性がとっても感じよく、余計に美味しさを誘うのです。


 息子にも、「どうか?」と尋ねると、同じように、「おいしい!」と言う。その顔はレストランで数年アルバイトをしていた経験から味覚は確かなものを物語っている。彼曰く、鴨肉のレア−状態が絶妙とのこと。私はと言うと、おつゆの味の濃さが何とも言えず美味しく、一滴も残さず最後まで飲み干してしまいました。ただ、妻の場合は、この日あまりにも疲れて食欲がないと言って、何も注文しませんでした。

 そしてまた数日後、多慶屋に行った際に、妻にもその美味しさを知って欲しいと思い、再度「吉仙」に立ち寄りました。開店したばかりの他には誰もいない前回の時間とは違い、7時過ぎですから店内は満員状態です。

 「また来たよ!」と気さくに彼女に声をかける。私の今日の注文は「天ぷらそば」、妻は前回息子が食べた「鴨せいろ」。妻は一口食べた途端に、「辛い!」と言い放った。「こんなに辛かったら、あんたは絶対に作り直せ」と言うはず。なるほど、言われてみると前回美味しかった時とはまったく違う。そばつゆを相当入れて薄め、やっとその辛さが取れた時には、味の根本が崩れて食べられない物になってしまった。

天ぷらそば1,800円 鴨せいろ1,300円

 同じお店であっても、これだけ味に違いが出るのだから本当にデリケートなものなのでしょう。でも、今日いくら辛かったからといっても、前回の美味しさはやはり忘れられるものではありません。だから、また、「吉仙」には行ってみたいと思っています。


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