力のある味

トップ＞情報＞最近のニュース＞最近のニュース2002＞力のある味

　この角餅という煎餅には食べる前からその姿形に思わず目を奪われました。その時に思い出したのは「芸術は爆発だ！」と言う岡本太郎さんの言葉です。正にその爆発した瞬間が形に残っているから、きっと味の方にも力強いものがあるのだろうと想像が豊かになります。

　その模様は蟹の腹の部分のようでもあるし、亀の甲羅のようでもあります。また、隆起したワニの背中の部分に一番似ているでしょうか。しかし、よくもこのようにある一定の形をした美しい模様になるのか不思議でなりません。こんな事からも何かと思いを巡らすのですから、幼児となんら変わらない私です。ですから、この度も瞬間にカメラに手が行き、こうして写真に収めていたのです。

　やはり、想像どおり、「パリッ！、ガシャ！、ガツン！」と勢いのよい音と共に口の中で力強い味が炸裂します。味に切れがあると言いましょうか、醤油味ですから程よい辛味が一層そのように感じさせるのでしょう。買って来た妻曰く、「煎餅は重さで買え」と言われたそうです。まこと、持ってみるとズッシリと重たく、記載には一袋で250グラムとありました。

　米を使った煎餅は新潟県が有名ですが、これは栃木県の日光で作られた丸彦製菓の物で「おかきの名門、匠の心」と謳っています。

　また、同じ皿に乗っているのは丹波の栗で、これまた思い切って爆発したのが分ります。普段食べなれている天津甘栗のじわりじわりと熱を加えたのとは見かけが大違いです。方やまろやか系で女性的な味ですが、この栗は昔大砲の筒のような物の中で米を爆発させて出来た、ポン菓子と言ったのと同じ手法で出来た焼き栗だそうです。

　強い火で焼かれたのが分かるように、所々に焦げたところがあります。この栗は試食した人全員が買って行くというほどの味だと言われ、ついつい高いけど買ったらしい。実際に食べてみると、こんなおいしい栗は初めてです。香ばしい甘さが美味しく口の中でほくほくとして広がります。

　それでいて味が開放的といいますか、外へ向いて広がる感じです。これまた、切れのいい美味しさです。間違ってもじゅわ～と来るような美味しさとは違います。私が音に求めるものがこの爆発するような美味しさの中に潜んでいました。