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I さんのインシュレーターの感想


 ----- Original Message-----
 From:I
 To: info@rosenkranz-jp.com
 Sent: Sunday, September 01, 2002 4:22 PM
 Subject: インシュレーターの感想

 第一印象

  ある日の午後、弟の車案内で初めて広島市西区のお店“KAISER SOUND”へ行きました。そのとき初めてカイザーの貝崎さんにお会いできたのですが、「ん?この広島のオッサンがカイザーさん?」というのが第一印象でした。ワヤ言うのう。長男は正直、口下手なので失礼をお許し下さい。

 ちょうど御引っ越しのお取込中に来てしまった(失礼)のですが、カイザーさんは私たちを追い返すようなことはなさらず、実に快く、狭い(失礼)雑然とした(失礼)店内に招待して下さいました。それから3〜4時間も、お忙しいのに、無知な私たちのために時間を割いて、オーディオのあり方について諄々とご教示下さいました。

 そのお話は終始よどみなく、それは時がたつほどに滔滔として大河のごとく、ある時は冷静な哲学者のように、ある時は猛獣の勢いで迸り出るのです。私は直覚しました。お話自体がすでに物凄い音楽を奏でているではありませんか。私はただ圧倒されるのみでした。


 疑心暗鬼にとどめを刺したナイアガラ

 そして、とどめを刺すように、例のナイアガラを段ボールからかかえ出して、私に持ってみよとお勧めになるのです。・・・参りました。無茶苦茶重たいのです。

 ナイアガラ誕生の逸話を伺ううちに、そら恐ろしくなってきました。これは研ぎ澄まされた動物的聴覚と沈着冷静な学者的研究を下地にして何年も、もがき苦しんでやっと生まれた重量物なのだと思い知りました。ご説明を伺いましたが、これが全て理に適っているのです。自信に満ち満ちておられました。一言のハッタリもありません。細部にわたってとことん裏付けがあるのです。私は数学の定理の証明を聞いているような気分になりました。

 数学の証明も細かい事実や既証の小定理の積み重ねで構成されています。証明を行う際、そのどんな部分でも針先ほどの誤りでもあったら証明の伽藍が崩壊してしまいますし、裏付けがなかったら、いくら正しい推論であっても、説明する言葉にチカラは宿りません。生意気なようですが、カイザーさんの言葉を数学的な気分で正しいと感じたのです。

 数学のある事柄が正か否か、月日を掛けて(賭けて)解明していくその苦しさを少しは知っていますので、カイザーさんの苦しみが分かるような気もするのです。私も発展途上にあり、真実にふれた追究とまでは程遠く、往年の大数学者、岡潔博士のいう「発見の鋭い喜び」(チョウを採集しようと思って出かけ、みごとなやつが木にとまっているのを見たときの気持ち、と述べています。)という境地は到底分かりませんが、カイザーさんなら、カイザー遺伝子105の発見や、歯と歯茎の構造等でそうした喜びをご存知に違いありません。


 半信半疑に思っていたインシュレーター

 私は、ローゼンクランツの製品について弟から体験談を聞いていたのですが、カイザーさんのお話を伺うまで、インシュレーターというものについて半信半疑でした。私のオーディオ・システムにも、もちろんインシュレーターが各機材に組まれています。それらのインシュレーターは実際のところ良いのか悪いのか、組んでみても外してみても一向に音質が変わったように感じられないのです。インシュレーターというものは当たるも八卦当たらぬも八卦、嵌れば嵌るほど疑心暗鬼に包まれるオカルトグッズであり、そんなものに大金をはたく人の気が知れない、「インシュレーターにこだわるのは愚かだ!」と思っていました。

 しかし、カイザーさんに接して、『5項目からなる音の違い(音のカラクリ)』を端的にご説明いただき、そうした認識は間違いだということがよく解りました。「鳴るように出来ているものは、鳴るようにしてやれば鳴ります」という何気ない一言によって、私の猜疑心は跡形もなく消えてしまったのです。“これは本物だ!。絶対すごいインシュレーターだ!”と確信が持て、試聴もせずに、スピーカーのスパイク受けに、弟も愛用というPB-JR(H)を8個購入する意思を伝えました。

 すると、「実は・・・」と紹介して下さったのが、まだ発売前の新モデル:PB-JRU(H)でした。私のごとき、オーディオ初心者の頼りない長男に、それも初対面の私に、特別に長男価格(?)で譲ろうとおっしゃるのです。「何という気風のいいお方だ!」。「何という熱いお方だ!」。お話にあった、<作り手>、<売り手>、<買い手>の正三角形論とはそういう事か!。その時、その瞬間を真剣に生きておられる方だ、先入れ先出し法ではない、その時点で最高のものをお客さんに提供されるお方だ、そう思いました。


 
 凄すぎるPB-JRU(H)の効果

 図らずも、私が新モデルの体験者第1号(?)ということになってしまいました。PB-JRU(H)は18日に届きました。セッティングを終了して早速リファレンスのソフトでそのPB-JRU(H)の効果を試してみました。・・・凄すぎる!

 体験談なのですが、何をどう話したらいいのか、なかなか難しい。どういう形容詞を並べたらいいのでしょうか。分からぬままに、書き進めています。

 第一音で分かりました。瞬殺でした。

 私は幼い頃に中耳炎を何度か患って、右耳が少し難聴になっています。左耳も感応する帯域が一般の人より狭いと診断されました。こんな私ですから、音質の微細な変化が分かるのだろうかと一抹の不安を覚えたものでしたが、そういう不安はまったく不要、このインシュレーターを入れた後の変化が一発でわかりました。それも、よく注意してみて、そう思えばそうだな、というような微妙で曖昧な分かり方ではなく、胸を一撃されたように明瞭にグサッと分かったくらいです。

 いくつか特徴をあげるなら、

 @エネルギー感が増大した、音に生気があり勢いがある。

 A気配が漂ってきた、微妙なニュアンスが聴き取れる。

 B瞬発力が大きく向上した。

 C余計な付帯音がなくなった。というのも見逃せない大きな特徴ですが、私が特筆したいのは、

 Dシステムの不備・限界を露呈してくる。ということです。


 
 直感として感じたもの

 わがスピーカーはB&WのN804なのですが、突如、「これがN804だ!」というような音色を出し始めたのです。もちろん、周辺機器の影響などがあるはずで、そう言い切るには早いですが、そのとき、直観的にそう感じたのです。そして、段々と見えてきました。N804の可能性と限界、システム全体の欠点が。

 これまでN804は低域が貧弱すぎて不満でした。低域に関して、量感は明らかに不足、スピード感はあまりない、私の耳のように帯域が狭い。N804の実力について何も分からなかった私は、怒濤のように迫り来る低域、爆撃を受けたような低域が欲しかったために、今まで、ヴォリュームをフルにして、あるいは、スピーカーを壁へ近づけたり、トーンコントロールのBASSを夕方にしたりして、出せもしない迫力低域を出させようとして齷齪していたのです。その結果、音量こそ大きいが迫力のない、歪んだうるさい音ばかりとなって返ってきたのです。


 B&WのN804の真の姿

 PB-JRU(H)を置くと、低域が引き締まったためか帯域はわずかに狭くなった(それがN804の本当の姿だと思っています)ように感じましたが、量感は程よい密度をもって勢いよく出るようになり、スピード感は時速40〜50qはアップしたように感じます。また、N804はスケールの巨きい低域を再現したり、量感で押しまくったりするようなタイプのスピーカーではなく、見かけ通り、あくまでも爽やかにスリムに鳴らしてこそ生きるスピーカーであるようにも感じました。つまり、PB-JRU(H)によって、N804の本来の正しい姿が分かってきたのです。

 N804が私の欲しい圧倒的な低域や激烈な音色を出すスピーカーではないことがはっきりと分かり、残念なのですが、ものは考えようで、私はいろいろなジャンルの音楽を聴きますので、中〜小編成の楽曲や声楽、R&B、ポップスなどをメインにこのN804を生かし切ろうと決心しました。そう考えると気が楽になり、私は次に行うべき事が見えてきました。それは、まず、安易に設置したシステムの無機的なつながりを、有機的にすること。間違いを正すことからです。

 本当に素晴らしい物はありのままの姿を見せ、正しい道を指し示します。何が正しくて、何が間違いなのかを見極める尺度になります。PB-JRU(H)は私に次に進むべき道を教えてくれました。


 
 野獣の隊長

 カイザーさんは、私にとって野戦の隊長です。いざとなればデッカイ事ができる人です。私など長男で気のよわい性分ですが、いちおう男性であり、オーディオ界の悪玉や擬物やその他諸々のコレステロールを掃蕩せんとするカイザーさんの雄雄しき姿をリアルタイムで見たいという、冷静で、かつ、ボクシング観戦にも似た「やっつけろ!」という本能的な衝動が沸いております。カイザーさんには私を含めてたくさんの味方がついています。一発ガツ〜ンとぶちかまして下さい、と言うのは無茶な要求でしょうか。

 これから本物が認められ本領発揮する時代が来ると思っています。本物にこそ人々の心を捕えて放さない魔力を秘めています。カイザーさんはその本物を生み出せる数少ない巨匠のお一人なのです。辺りをはらうかのような進軍、快進撃を願ってやみません。

 PB-JRU(H)をありがとうございました。既にわが耳のふるさとです。


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