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ハイアールとの提携に見る “したたか”ドイツ企業と
“消えた”日本企業

2013.2.7 MSN

1984年、あるドイツ企業が中国のある企業と提携を行った。これによりドイツ企業は既存の設備を中国側に売却し、その設備を使用した製品製造の技術も供与した。併せて、ブランドも一定期間、中国企業の使用を認めた。(フジサンケイビジネスアイ)

当時、この中国企業は経営不振のために再建中であった。名称は「青島電氷箱(冷蔵庫)総廠」。さっそく、ドイツの設備と技術を生かすとともに、相手側の企業名でブランドでもある「Liebherr」を織り込んだ「Qindao-Liebherr」(中国名、琴島−利勃海爾)というブランドで製品を市場に提供した。

経済の発展に伴って市場が拡大し、ドイツの技術も効いて売れ行きは好調だった。そのため、ブランド使用権の期限が切れかけた頃には、企業名もブランドも、類似した「琴島海爾」に変わっていた。その後、さらに「海爾」(Haier)、つまり、「ハイアール」に変わった。

この間、ドイツ企業は普及型製品の製造を中国の企業に譲り、自らはドイツでデザイン性にも優れた高品質の製品を製造し、欧州内外で販売を続けた。

さらに、中国市場でも大きな成果をあげた。中国の多くの消費者は「琴島−利勃海爾」の製品を20年以上使用しても「何の問題もなかった」ことから、ドイツ企業に信頼を寄せた。この企業はその知名度や信任感を利用し、中国の需要を取り込んで建設機械分野での快進撃を続けたのだった。

つまり、ドイツ企業は既存の設備や技術を有償で供与しただけではなく、ブランド使用権の貸与により、知名度を上げ、自社の他の製品に販売を促進した。

この間、中国の企業もまた、ドイツの設備や技術、そして、そのブランド・イメージの威力を生かして基盤を築いた。やがて、中国にとどまらず、白物家電分野では世界トップクラスの企業となった。

一方、2002年にこの中国企業と提携し、自社のブランド製品を販売しながらも日本で合弁企業を設立してハイアール・ブランドの製品の販売に乗り出したのは三洋電機だった。10年後のいま、三洋は独立した企業としても、ブランドとしても実質消失している。

ハイアールと提携して自らの高度化転換を達成したのはドイツの企業だ。提携先の三洋と、その上位ブランドのAQUAも傘下に収めたのは中国の企業だ。日本の経営者はどうするつもりなのか。(甲南大学教授・杉田俊明)


中国ハイアール、昨年の日本売上高は4・5倍増の483億円、買収した旧三洋が貢献。

中国の家電大手、海爾(ハイアール)集団は1月29日、2012年の日本市場での売上高が前年の約4・5倍の483億円だったと発表した。パナソニック傘下の三洋電機から買収した「AQUA(アクア)」ブランドが売上高全体の約7割を占め、けん引役となった。目標は500億円だった。

アクアブランドの12年の売上高は348億円、従来の「ハイアール」ブランドは135億円だった。13年の目標はアクアブランドが400億円、ハイアールブランドは160億円で、全体で計560億円を目指す。

アクアブランドの日本での市場占有率は冷蔵庫が約7%、家庭向け洗濯機が約10%だった。アクア事業を手掛けるグループ企業の中川喜之社長は「12年は存在感を出すためにロケットスタートを切りたかった。出来過ぎの感がある」と述べた。




ドイツの中国に対する戦略は凄いと思います。香港へは渡航経験がありましたが、中国本土へは行った事がなく、昨年上海に初めて行った時に最初に驚いたのがタクシー全部がフォルクスワーゲンだった事です。

当然日本車が一番だろうと思っていたのでショックは隠せませんでした。そしてホテルの部屋に入って二度びっくり! 水栓金具から電気製品に至るまでほとんどがドイツ製品でした。三洋とハイアールの件に関しても、本記事で得心しました。

政治のみならず、教育、経済等すべての面に於いて、日本は根本から変わらなければなりません。

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