瀬兵音鏡の製作者にRK-AL12/Gen2を納品
伊万里焼CD音質改善器(瀬兵音鏡)の製作者である、高麗(旧姓吉永)誠氏のところへ、ローゼンクランツ・スピーカーRK-AL12/Gen2の納品に伺いました。当日はヨガナンダのN.S氏と高麗氏を引き合わせるもう一つの目的もありました。その理由は、二人を足して2で割りたいからです。
S.N氏は180数センチもある大男のわりに、知的・柔和ですが、方や高麗氏はカイザー寸法(自称157.5cm)の男と言ってはばからない、小男ながら肝っ玉の据わった空手有段の猛者であります。この二人が並んだ写真を撮りたかったのですが、残念な事に撮り損ねました。
多分高麗氏はS.N氏の脇の下から乳首の間位だったろうと想像します。この二人は何から何まで対極を描いたようなもので、S.N氏が普段から口を酸っぱくして言っている陰陽の関係が、この二人ほど端的に表している例は無いと思っているからです。そこから、両者が何かを感じ取って貰えたら言う事はありません。
陶石のダイヤモンドの正体を見た
さて、彼の仕事場に入るや目を釘付けにされたのが、彫刻中のちょっと大きめなお椀でした。何とカッターの裸の刃で木を削るかの様に薄皮の如く切れるのです。普通の粘土や土ですと砂の粒によって切り口がガサガサになるものです。
恐ろしく粒子がきめ細かく、触媒無くして単石で磁器となる事から、昔から陶石のダイヤモンドと呼ばれている所以なのです。その陶石で出来た焼く前の素地の物と出来上がった皿の写真です。
右側の焼き上がりの皿の下を気をつけてご覧下さい。焼く前と焼いた後の物を二枚重ねてあります。かなり縮む事が判って頂けたと思いますが、高麗氏曰く、その縮み率までもカイザー寸法の10.5%なんですよ! と嬉しげに語ります。
何故そんな事を言うのかは、昔の古伊万里と呼ばれる鍋島の焼き物の寸法比はことごとくカイザー寸法なんだと打ち明けてくれます。元々日本建築の柱が三寸五分ですが、それをセンチに直すと10.5センチのカイザー数値なんです。
いっその事、オーディオメーカーも昔の尺・寸・分で設計すれば素晴らしい音になるのに、わざわざ音の良くない西洋の単位を用いてしまったが運のツキなのかもしれません。大工のように頑なに尺寸を守っている業界もあるのです。今からでも遅くはありません。
芸術作品は音楽を聴く事から生まれる
さて、さて、肝心なオーディオシステムの設置をしなければなりません。高麗氏は、いつかはローゼンクランツのスピーカーの最高峰であるマエストロを手に入れるんだ! と口にしていますが、食べ盛りの子供三人を育てながら、そんな余裕などある訳ありません。
言った手前引っ込みもつき難い事であろうし、助け舟を出す意味でも、私の方からスピーカーとアンプを今の時代に即するように選んだから、「黙って俺の言うとおりにしておけ!」とばかりに、今回は私流の意図があって、押し売りしたのであります。
本人曰く、『カイザーさんのその勧めは、とにかく嬉しかったです!』
『自分のデザイン室を片付けたばかりだったので、渡りに船でした!』
そうだろう! このジェネレーション2の奏でる音楽を聞いていると、
いいアイディアやデザインが浮かび、
陶芸家として一皮も二皮も剥けるというものよ!
お前がこのまま埋もれているようじゃ、
ご先祖さんに申し訳が立たんぞ!
世界中の音楽を聴いて感じろ!
そして、"新生有田"、"新生伊万里"を興すのじゃ!
才能を開花させるには今の時期をおいて他にない
他の誰でもない高麗氏の才能は私が一番良く知っています。
何故かって?
それは、"瀬兵音鏡"が証明しています。
前作より下回るような物を送って来たら、その日から販売打ち切りにするからな! 私は心を鬼にして、彼に冷たく当たりました。そのプレッシャーたるや大変だったであろう。頭が白髪で真っ白になったと、人伝えに聞いてもいました。
前回の作品と比べてこうあったら良いのに・・・。そう私が思うところを彼はことごとく完成度を上げて来たからです。もうこれ以上は無理だろう? と思ってからでも何回も上げて来ました。
そして、その試練の言葉を発して以降、10回近くになろうとしている現在まで、只の一度も前作を下回った事がありません。彼は執念で私に一矢を報いたのです。これでどこに出て行っても臆する事などないでしょう。
ある時は彼が土産にと言って、重たいのにわざわざどんぶりを東京まで持って来てくれた事があります。「あの時のどんぶりは捨てたぞ!」と毒づいたりもしました。使えば使うほどに、箸の角度とどんぶりの傾斜が合わない事にイラついて来たからです。トレンドを追っかけたが故に、食を具する道具としての体を成していなかったのです。
彼が昔気質の最後の世代の日本人かも知れません。そう信じて芸術に携わる者通しとして付き合わせて貰ったつもりです。何故なら彼から私のところへ自分を売り込んで来たからです。そして私の魂の結集であるスピーカー(RK-AL/Gen2)を届けてしまったからには、私が彼に今後一切厳しく接する事はないでしょう。
ぼろくそに言うのは、見込みがあるからです。
何も言わなくなるのは、認められた証拠です。
その代わり、私の分身であるRK-AL12/Gen2が世界中の音楽家のメッセージを伝えるから、今まで以上に彼はしんどい人生を歩まなくてはならないのかもしれません。それもこれも人生。彼の心のありよう次第で苦しくも楽しくもあるのです。
セッティング開始
RK-AL12/Gen2をセットした状態です。CDは古いパイオニア製、アンプはこのスピーカーを鳴らす為に素性の良い真空管アンプを探していて見つけた物です。このアンプの写真を見た瞬間にこれしかない! とカイザーセンサーが鳴りっ放し状態になりました。
試しに一台仕入れてみると、想像どおりの健康優良児的な音がして、10年前にマランツのPA01を発掘した時を思い出しました。ザックリとしたところがあるけど、カイザー流にモディファイすれば素晴らしいアンプに化ける事間違いありません。
このアンプはモディファイしてお得意さんに既に数台納入しましたが、どなたも最高に満足しておられます。今日は更なる上を目指したエクセレント仕様もテストケースとして持ち込んで鳴らします。その話を聞きつけた鹿児島のT氏も駆けつけ急遽4人での試聴となりました。
仕上げはスタンドにスパイクを取り付け、スパイク受けインシュレーターのPOINT BASIEを履かせて準備万端です。床から30pほど上がったステージと同じ状態が功を奏してダイナミックな生々しい音楽を再現します。
特にギターのリズムに合わせて床を鳴らしながら踊る、フラメンコダンスのステップがリアルです。フルトベングラーのベートーベン交響曲は厳粛です。また、カーペンターズのカレンの歌声は魅力的でした。
仕事場に置くので配線類も極めて簡素な物でまとめました。スピーカーケーブルは音の良い長さを組み合わせたSWINGの試作改造モデルです。