トップノウハウ理想のスピーカーセッティングフラッターエコーについて

フラッターエコーについて



「フラッターエコーが出ないセッティング

 フラッターエコーについて私なりの体験に基づく考え方を述べてみたいと思います。沢山のお客さん宅をクリニック訪問し分かってきた事ですが、実はどんな部屋であってもフラッターエコーが出ないセッティングポイントがあるのです。

 極端な言い方を許してもらえるならば、たとえお互いの壁がガラス面であったとしても、フラッターエコーをセッティング次第で出さなくする事が可能なのです。また、それを実現しない限りは、たとえ音響的に考えて作られた部屋であっても、音楽性のある音をステレオから出す事は出来ません。

 フラッターエコーが出ないような部屋を作ること自体が大切なのではなく、たとえフラッターエコーが出やすい部屋であっても、出ないようなセッティングが出来た時には音楽性豊かな音を手に入れられる事を知って欲しいのです。

 フラッターエコーは部屋の構造によって出やすい出にくいの差こそありますが、実際にはフラッターエコーが出るようなスピーカーの置き方をしているから出るのであって、決して部屋のせいではありません。本当は良い音のするスピーカーのポジションを見つけ出す腕の差が音の面において一番大きいのです。


「平行面を持った壁はむしろ好都合

 平行面を持っている壁が致命的のように思われがちですが、むしろ好都合と受け止めてもらって結構です。それには正面から音楽エネルギーを受け止める利点があります。その受け止めたエネルギーを如何に生かすかです。その反射波をタイミング良く次から次にスピーカーから発する音楽波動に乗せてやればいいのです。

 最も間違ったセッティング方法は、スピーカーの背後の壁に対して斜めのライン上にスピーカーを配する置き方です。これではリスナーの背後の壁に当たって反射した時間のずれたLとRの合成波が滲みのジグザグ波となって逃げる形になるので、両スピーカーのセンターに定位しません。したがって音楽のメッセージが聴き手のハートからどんどん遠ざかります。


セッティングの極意

 理想のセッティングはスピーカーが壁に対して少し内振り程度で、ほとんど正対に近いフラッターエコーが出やすい状態にあえて置いてやります。その条件の中でスピーカーを前後させフラッターエコーが出ない場所を探し出すのです。そのポイントこそが音楽性の一番高いところなのです。そのポイントは短い波で52.5ミリ、長い波で157.5ミリ毎の周期性をもっておりますので、音の良い山の部分と良くない谷に当たる場所を見つけ出してください。

 スピーカーのセッティング時のヒントは、リスニングポジョンでどんな音がするかを求める為の工夫に力を割くのではなく、どのポジションにスピーカーを置くかに掛かっているのです。もっとも大切なのは音楽の音楽たるものを感じ取るハートビートセンサーを働かす事です。


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