音の良い長さのカイザー寸法に驚いた
『2mのスピーカーケーブルを1.8kaiser(1.89m)の長さに切り、その音の改善ぶりに感激して、クリニックを受けてみようと決心がつきました』との内容のメールを頂戴し、J.Tさん宅への訪問となった次第です。
こうしたきっかけから繋がるご縁は、商いの鉄則である"信用第一"を肝に銘じなければならない一件でもあります。次のように、写真と共にシステムの概要を頂戴しました。
J.Tさんのシステム概要
部屋はL字型のリビングダイニングです。
オーディオが設置してあるリビング部は5畳くらい。
■スピーカー Joseph Audio RM7si Signature MK2改 |
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■スピーカースタンド KRYNA Stage (人口大理石の上に置いてあります) |
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■アンプ Counterpoint SA-5000, SA-20x2 |
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■DAC Counterpoint DA-10 |
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■CD AH! NT4000 |
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■ミュージックサーバー Mac Mini (PPC) iTunes + Pure Music M2Tech hiFace |
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■ケーブル等
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クリニック先のJ.Tさん宅目がけて出発
これからクリニック先のJ.Tさん宅がある目黒に向いますが、今日はあまりにも気持ちの良いドライブ日和なので、日本橋から目黒までの首都高ドライブの様子をお伝えしたいと思います。(首都高での写真は、後日助手席から妻が撮ったものです)。
日本橋本町から首都高に入り、江戸橋ジャンクションで都心環状線を外回りに京橋、銀座と進みます。ここらあたりは一部地下にもぐるのですが、片側2車線の真ん中に大きなコンクリート柱が突如出現し、股裂き状態となるので激突事故に繋がり兼ねません。
さながらモナコ市街地レース場のようで、少しでも気を抜いたらお終いです。だからサーキットを走っているかのような雰囲気になり、同じ首都高の中でも車のドライビングの楽しさとスリルが同時に味わえるルートでもあるのです。
C.G-Life助燃材でカイザーオペル号の走りをテスト
おっと、大事な事を忘れるところでした。私のドライビングの楽しさの元となっている、C.G-Life助燃材について触れておかなければなりません。昨晩の内に燃料補給したところ61リッター入りました。
C.G-Life助燃材の混合比率を更に減らすとどうなるか? というのが今日の狙いです。目的は走りっぷりのみです! 燃費は一切関係ありません!
今まで一番少ない時で、ガソリン1000ccに対して0.85ccのC.G-Lifeでした。即ち、0.85/1000より更に少ない、0.82/1000の混合比となるようにC.G-Lifeを注入します。計算上ではガソリン61リッターに対して丁度50ccとなります。今回は小刻みに何度も確認しながら注入したので、ピッタリ50cc入れる事が出来ました。
だから、今日のカイザーオペル号の走りが、事の外楽しみだったのです。結論から先に言ってしまうと、0.82/1000という混合比率は大成功だったようです。微妙な押し引きのアクセルワークに対してエンジンは素直にレスポンスし、まるで軽量車を操っている感じに近いのです。
緩やかなアップダウンとS字カーブが背中に程好いGをもたらし、腰椎を中心とした体幹神経が、カイザーオペル号をコントロールし走らせているような感覚です。今風のマイコン制御された勝手に車が走るといった感は殆どありません。私の意思に沿って走ってくれるのが嬉しいです。
今朝、食したブルーベリーの効果のようです。白い車線ラインが普段よりクッキリ見えます。又、この走りはスタッドレスタイヤの飴ゴムのような粘弾性も効いているのでしょう。このライン取り軌跡は普段の私の運転技術では絶対に有り得ません。プロのドライバーが運転する横に乗せて貰っている感覚と言って良いでしょう。それ位上手く走れるのです。
オーディオクリニック時に、どんどんと良い音になって行くのと全く同じ経過を感じます。車の走りもステレオのコンディションも、快適性という人間の感覚部分をエネルギーの数値に置き換えれば、答えが同じになるのは当然と言えば当然ですね。
人と人の馬が合うというのも同じエネルギーです。本来馬が合うというのは人馬の関係ですが、人間同士にも馬が合うという言葉が使われるのも面白いですね。しかし、今日の馬はカイザーオペル号です。ピッタリしっくり来ます。
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人生に喜びと感謝を感じられる年齢になったようだ
首都高の江戸橋・京橋・銀座辺りを"モナカ・サーキット"(私が勝手に名付けた)と呼んでいる。その難所を抜け、汐留を過ぎるあたりから地上に出ます。視界が開けた瞬間を狙ったかのように、正面にレインボウ・ブリッジ、右手に東京タワーが出現するのです。余りにもよく出来た脚本に、ワンダフル! の声を空に向かって返礼します。
目から入る東京のエキスが凝縮したシーンと、秋の爽やかな風が運んでくれる海の香りを、自慢の鼻腔を広げ、知覚センサーをマックス状態にして心身全体に取り込みます。窓を全開にして走る我がカイザーオペル号はすこぶる快調です。
F.F車のように走り急ぐ様子もなく、船のスクリューと同じ原理のプロペラシャフトの回転で推進していく感覚です。ゆっくりした振動と速い振動のリズムのいなし具合が絶妙で乗り心地も最高です。運転していてアルファー波が出て来るのが分かります。
生きている事の喜び! 健康である事への感謝! そして、オーディオの仕事に誇りを持てると同時に、充実した人生を満喫出来る今を、あたかも時計の針が、かけがえのない余命を刻んでいるやに感じる瞬間です。
初めて味わうこの人生観は味わい深く静かなる昂ぶりなのです。静という意味はこういう感覚なんだ! 改めて我が静雄という名前の持つ意味を知る事となりました。これは還暦を越えた者同士でなければ、解り合えないものだろうと思います。歳を重ねる事は乙なものです。
リザーブタンクに残った僅かな男精が頑張っているのだろう。我が身とは云え、その健気さをちょっとだけ誉めてやりたい・・・。
浜離宮庭園を左に見ながら通り過ぎると左が竹芝埠頭右は浜松町です。浜崎JCTを直進すれば海岸通りになり、そして左に見えるレインボーブリッジを渡ると横浜・千葉に繋がる湾岸線と合流し、そこを、左・左へと3キロほど走ると、東京湾を一周する形で我がマンションに戻れるのですが、今日の目的地は目黒ですから浜崎JCTを右に曲がります。
すると、昔後楽園球場のあった芝公園が近づき、東京タワーもすぐ右に大きな姿を現します。麻布十番の一ノ端JCTで環状線に別れを告げ、左旋回して目黒線に入り、天現寺、そして今日の目的地である目黒で降ります。
それにしても首都高での走りは気持ち良かった!
今日は素晴らしい一日となりそうだ!!
生涯に何度も無いであろう、今日のようなコンディションでのオーディオクリニックはどんな結果になるのでしょう。ハイエンドショウで会話を交したとJ.Tさんは言っておられたが、電話の声を聞いた訳ではなくメールなのでどの人だったかは顔までは思い浮かびません。
オーディオクリニックそっちのけで日本人論の話に発展
J.Tさんはマンションの入り口まで出迎えに降りて下さいました。お会いするとしっかりと覚えていました。家に招き入れられ、名刺を交換すると、そこにはライターとだけ書いてあります。J.Tさんは理知的な顔をしておられるので、私は興味を持って「どんなお仕事ですか?」とお尋ねすると、ノンフィクション関係ですと教えて頂けました。
実際にあった出来事をリアリティーをもって再現するという点に於いては、私がライフワークとしている、「音と音楽の違い」の解明と似たところがあり、オーディオに於ける私の立ち位置と重なるような気がします。結論を言うと、好きでなければ出来ないし、正義感が無くても出来ない仕事です。自分の中から純粋に湧いてくる好奇心こそがエネルギーの源です。自然体で取り組んで欲しいと思います。
オーディオに於ける、振動・電気・空気のように目に見えない敵との勝負はこれまた大変なんです。ある意味、色即是空、空即是色の禅問答のようなところがあり、有ると言えば有る! 無いと言えば無い! そんな雲を掴むような状態には、押し潰されそうになる時だってあります。
オーディオの仕事そっちのけで、J.Tさんとはかれこれ2時間ほどの会話を楽しみました。ノンフィクション作家の仕事は事実に基づく地道な取材が全てだと教えて頂き、主に日本人論についての話に終始しました。お近づきの印にとJ.Tさんの著書を一冊頂きました。楽しみに拝読させて頂きます。
武士道精神と狼の習性
文化破壊、強奪、虐殺、が当たり前の世界戦争史の中で、西洋列強が行った奴隷制・植民地政策とは全く異なり、侵攻後の相手国も豊かになるべく、インフラ整備や教育に力を入れ、共生というスタイルを採ったのは、日本を置いて他に無いと聞き及びます。
日本人の価値観では「止めを刺さない」とか、武術の中にも「寸止めという心得」があるという話になった時です。狼同士の戦いでは、負けを覚悟して横たわり腹を見せた相手に、勝ち狼はとどめをさすことなく矛先を収めるという話を聞かされ感動しました。それは、種が途絶えない為の知恵だろうと言われている。という話をJ.Tさんから伺った時に私は次の事を思いました。
日本の戦国時代もほぼ勝敗が決した時点で戦を止めたそうですから、日本人の哲学は狼の世界と同じだったんですね。いやはや、驚きを禁じ得ません。狼と日本人の関係を深く調べると、もっと興味深い何かが分かって来るかもしれません。生態系の分野は神秘で本当に興味が尽きません。
聴く前の印象とは全く違った音だった
J.Tさんとは意気投合し、ついつい長話になってしまいました。そろそろ本題のオーディオクリニックに入らないと、夜が明けてしまうかもしれません。J.TさんはPCオーディオを有効活用しています。アイフォンに表示される画面を見ながら、聴きたいアルバムを選び、それをリモコンとして便利に使いこなしているのを見てちょっと羨ましく思いました。
お聞かせ頂いた現状の音は、凄く良い音と、キツくて耳に刺す音と、滲んだ汚い音が気になる症状として見て取れます。ツイーターの切れ味が半端ではない。箱のサイズを越えた制動の効かない鈍重な低音・・・。問題点を挙げれば色々ありますが、一言で言うと押し付けがましい印象を受けます。
システムの骨格をザックリと診断
並べた言葉は欠点にしか受け止められないかもしれませんが、決してそうではありません。これは改善可能な音です。改善後の期待値が見え隠れする音なんです。折角の長所が裏目に出ているだけです。
この診断と読み解きこそが、
クリニックに於ける本日最大の価値であります。
ここで、98%の人は誤った判断を下してしまいます。
だから、オーディオは難しいのです。
この負の音にしか聞こえない中から、非凡で使い物になるとの見極めと診断を下せるのは並な事ではありません。自分を使って欲しい! という各々が自分の長所を売り込もうとしていると受け止めると、考え方も変わるのではないでしょうか。使い手の手腕が問われるところです。
だから、裏目に出るような原因を特定・解明するのが、カイザー・クリニックの目的です。それを物の買い替え無しにどこまで出来るのか? 要は私の腕の見せどころの部分であります。
その先はケーブルなりインシュレーター等を必要とするかもしれません。見たところ電源周りも充分ではありませんので、音の成長と共にテコ入れしてやれば、半端ない伸びしろを持っています。J.Tさんとは今後細く長いお付き合いになりそうです。
診断その@
SPスタンドの前後の方向性が反対である
音を汚くしている第一の原因は、音楽振動のぶつかり合いによって生じるスト レスです。ここで見誤ってはいけないのが、分子間力として起こる振動ストレス と、方向性の違いによる振動ストレスです。前者は素材チョイスの誤りから来る ものですが、後者は使いこなしによるものです。
その使いこなしの部分で解決出来る一番大きな部分は、スピーカースタンドです。響きにおける前後の方向性が、左右両方とも底板・天板の全てが逆となっています。
スピーカーは前に向って音を出そうとしているのに、スタンドは後ろを向いているのだから、とても両者の調和は望めません。組んだ騎馬に逆向きに乗っている感じです。不幸中の幸いとしては、全てが反対の状態で揃っていた事です。是正さえしてやれば、最悪から最高に変身しますから、それだけお得度は高いのです。
片方のスタンドだけ前後を入れ替え、その片方だけ本来の正しい使い方にしてやります。但し、本来なら2問とも間違っていたものが1問正解となると、テストの成績であれば50点ですが、オーディオの場合はこれが一番悪いパターンとなるのです。
それでは、クリニックの最初のトライアルとしてJ.Tさんに聴いて頂きましょう。左右の空気の動き方が全く変わりますから凄く違和感を感ずるはずです。但し、頭を左右に振りながら各々を聴き比べると、スムーズな音のする方とイライラした感じの音の違いがハッキリと確認出来るはずです。
『凄く違和感を感ずる音ですね』
『左右を別々に意識して聴くと、明らかに変更した方が良いです』
では、残る片方のスタンドも前後の向きを反対にして、両方のスタンドの響きの方向が前に向いた、理想とする状態で聴いて頂きましょう。左右を合算した際には初めて振動位相が揃いますから、それはそれは気持ちの良い音楽に変身するはずです。
『ほぉ〜〜!!』
『凄いもんですねぇ〜!』
いきなり出て来たその音の違いに、J.Tさんの顔が困惑するほどで、喜びとも不甲斐なさとも言えない何とも奇妙な顔になっています。
原因解析その@
響きの方向性がもたらす振動の位相問題
問題を引き起こした原因は、底板部分に貼り付けた前を指し示すであろうレーベルが反対だった事です。物性の方向性を見切る力がないとこういう事になるのです。これは、このスタンドのメーカーに限った事ではなく、全てのメーカーに言える事であります。私は弱者の味方です。音を悪くしている原因の解明研究に全力を尽くし、ユーザーの皆さんに真実を公開する事に勤めるのみです。それに関しては、下記ページで述べております。
方向性を管理した物作りは、一歩進んだクオリティーコントロール
この現象をスピーカーの例に置き換えると、左・右の極性が反対になっている逆相状態と同じなのです。それは電気的な逆相ですが、位相という物は何も電気だけに限った事ではありません。位相の問題は全てにあります。位相とは時間と方向を指し示すものです。では、例を挙げながら、分かり易く説明申し上げましょう。
原因解析そのA
位相とは"時間と方向"を指し示すもの
時計の長針が12時を指しています。これは0度であり、360度です。視覚的には両者軸上に揃っていますが、理論的には360度というのは時計回りに1回転して元の位置に戻ったものです。だからリアルタイムという点からすると、1周期(1波長)後れの同相というのが厳密な答えです。
9時の位置にあると270度という事になります。3/4波長遅れです。だけど、どの時間帯の一瞬を切り取ったかの比較によっては、270度の位置にあるものは位相が90度速いとも言えるのです。
音楽は時間の流れを表すものです。過ぎ去ったものと、現在のものと、次に来るであろう想像上のものとによって、連続性があって初めて成り立つものです。
一般的に言われる位相とは極性を言う場合が多く、プラスとマイナスで0度と180度になり、このように正反対の状態であれば、すぐに変だと分かるのですが、ネットワーク回路のようにコイルやコンデンサーが間に入ると、ずれ方が多岐に渡り問題を複雑化させてしまいます。
ネットワーク設計は音楽的感性の優れた、芸術的センスの持ち主でなければ作る事が出来ません。測定上に現れる情報だけで組めるほど音楽芸術は簡単ではありません。根本は三度の飯より音楽が好き! オーディオ企業はこれを採用時の必須条件にすべきだと思います。入社テストで幾ら高い点数を取っても使い物になりません。
診断そのA
スタンドの下の人口大理石が悪さ
薄い人口大理石も音にかなりの悪影響を与えております。スタンドと床との間に薄い人口大理石を入れると、スピーカーの発する音楽振動の大半は、スタンドを通してスピーカーに向って反発・逆流します。これは時間当たりの放水能力が少ないダムと同じで、すぐにオーバーフローを起します。
次々と休みなく音楽を奏でなければならない、スピーカーの動きの邪魔をするのです。どこの誰が言い出したのか、「床に振動が伝わってはいけない!」 その考えは全くの間違いです。振動の放出は大気中へ向けてと、床へ向けての二つで行わなければなりません。
以上二つの振動放出なくして、スピーカーが音楽を奏でる事は出来ません。人口大理石を外して聞けば一発で判ります。低音の飽和状態が取れて、音のきつい所も殆ど無くなり、音楽が伸びやかに楽に流れます。こうでなくてはいけません。
診断そのB
ネットワークが素晴らしい!?
問題点を一つひとつ是正して行った時の音の変わり方が、素直で効果絶大なので、ユニットは勿論の事、「これはネットワークがかなり良いですね」と、J.Tさんに振ると、『そうです、オクターブあたり120dBという急峻な切り方をしているのが、このスピーカーの特徴だそうです』。
「えっ本当ですか? それはちょっと信じられない!」。「でも、そうかもしれませんね、音の変化の具合が、今までに蓄積したデーターにない結果として出ますから・・」。私の脳が興味深々で聴こうとしているのが、ビリビリとした反応となって感じられるのです。
原因解析そのB
人口大理石の寸法比は不協和音を発する最悪比だった
J.Tさんの訪問記を書いていると、大いなる疑問がもたげて来ました。一つ一つのクリニック・トライアルに対して、一体どうしてあそこまで音が向上したのだろう? という疑問です。
その謎は後日解けました。響きの方向性がことごとく反対だった事が第一の理由でしたが、もう一つは音の良し悪しを決める寸法比にあったのです。J.Tさんに電話でSPスタンドの下に使っていた人口大理石の寸法を測って貰い、紙面上で解析していて解ったのです。
使っていた人口大理石は、T10・W300・D470の最悪比でした。
仮にD470を元にするならば、W350・T13.○が音の良い寸法比です。
仮にW300を元にするならば、D463・T12.○が音の良い寸法比です。
Tの1/10の桁の数は伏せました。ノウハウの公開もユーザーに利用して貰うなら大歓迎ですが、楽して儲けたいと考える同業者がそっくりそのままパクルからです。これだと試作を10枚作らない限りは正解にはなりません。いやいや、今の今、書きながら心配要らない事に気がつきました。厚みは調整出来ないのです。素材メーカーが用意しているのは、せいぜい5mm若しくは10mm単位でしょうから。
しかし、ここまで明かしたのなら、明かしついでにもう一つ深いところまで公開しましょう。実は厚みが悪いのではありません。三辺の長さの組み合わせ比が良くないのです。仮に厚み10mmの物を元に設計する事も可能です。
では、ローゼンクランツが設計するとどうなるでしょう。以下が答えです。仮にT10を元にするならば、W34○・D464が音の良い寸法比です。更に音を追い込む為には、CとRの面取りという工程が入らなければ、音楽の完成度として一人前ではありません。
売価の安い物を提供する事だけが、ユーザーへの利益還元なのでしょうか? あるいは、音が良くなるという触れ込みで商品開発するのであれば、せめて検証してから売って欲しいものです。
今回の寸法比の物を実際にスタンドの下に敷いて、その音を聴いたにも拘わらず、発売に踏み切れるという音に対する感性が私には信じられないのです。カイザースクールの設計試験なら即不合格です。
これをカイザーサウンドでは、"三和音設計"と呼んでいます。
オーディオはそんな甘いものではありません。既製品の材料をこんな風に乱暴にぶった切っただけで、良い製品が出来ると思っているような甘い考えであれば、ユーザーからの信頼は徐々に失って行くでしょう。
その最悪であった人口大理石を外す事によって、音を悪くしていた負の因子が取り除けた訳ですから、音は一気に良くなったのです。最も寸法比だけではなく、反発係数を考えると、素材その物も決して良いといえる部類ではありません。その素材の問題は別の機会に詳述したいと思います。
原因解析そのC
スピーカーの箱の寸法比が抜群に良い
次は、Joseph Audio RM7si MK2スピーカーの箱の寸法比について述べてみたいと思います。何故あれほどまでに、うなぎ上りとも言えるほど音が良くなったのかを検証します。
H381・W229・D305
この数字はネットで私が調べたものです。ローゼンクランツスピーカーを設計する場合には、最初にバッフルの高さのHを決めます。次に幅のWを決め、板厚Tを決め、その後奥行きのDを決めるのが流儀となっています。
さて今回のH381を元にした場合の,
理想のWはどうなるのでしょう?
私の音楽感受脳にはW227と出ました。僅か2mm違い。
しかしです、Dが凄いんです! パーフェクト!
私の音楽感受脳にはD305と出ました。
H381・W229・D305 Joseph Audio RM7si MK2
H381・W227・D305 私の理想とする寸法比です
この数字を見て思い出した事があります。ローゼンクランツのスピーカーのRK-MRの開発時に、ダンボールでモックアップを作った瞬間に感じたのです。どこかで見た事のある寸法だなあ? と思ってしばらく眺めていると、思い出しました。そうだ! セレッションのSL-6だ! そして、大急ぎで調べると次のような数字だったのです。
ちなみにその時の数字がこちらです
Rosenkranz H.370 W.210 D.260
SELESTION H.380 W.200 D.270
漠然と良い寸法比だなぁと思う事は何度もありますが、今回のように寸法を書き出し、更に脳内で強くイメージしてみようと思う事は滅多にあるものではありません。Joseph Audio RM7si MK2の箱の寸法比にビックリさせられたのはその時以来であります。
原因解析そのD
性善説と性悪説の両面で人や物を観る、或いは診る
最初は高音と低音がひどく分離していたので、決してスピーカーケーブルが良いと思えるデーターは頭にありませんでした。響きの方向性を中心にクリニックする度に音が良くなりましたが、その良くなり方の内容や推移によって、どこにどんな問題が潜んでいるのかの絞込みが行われるのです。
これは、総合医が問診しながら病名診断して行く過程と全く同じなのです。この際に誤診があると評判は悪くなり、続に言うヤブ医者というレッテルを貼られるのです。その反対が名医ですね。
そのデーター分析の中で、使われているベルデンの¥400/mほどのケーブルは、すこぶる良いという診断を私は下したのです。オーディオは命と直結するほどのものではないので、やぶと名医の見分けがユーザーにとって難しいのです。
だから、どんな問題を起したとしても、オーディオ界には罪に問える所まで立証出来るだけの辣腕弁護士もいなければ検事もいないのです。厚生省の村木女史を罪に陥れようとした検察による事件が記憶に新しいですが、よもやと思う事が有り得る訳です。
性善説と性悪説の両面で人や物を観る、或いは診るといった防衛力も身に付けなければ、資本主義末期の現代社会では、作為的悪事を働きかねない状況が多々あるという事を肝に銘じて欲しいと思います。
教訓その@
良い音を提供してくれない所からは買わない!
確かに暴力的と言って良いほどJoseph Audio RM7si MK2がデリカシーに欠ける鳴り方をしていたのは事実です。しかし、そのキツさの原因がどこにあったかというと、SPスタンドの響きの方向性の管理不足にあったのですが、実はオーディオ業界にこのカリキュラムの単位を取った者が居ないのです。
「音のカラクリ」の研究をしないで、ただ単なる相性という問題で片付けようとする言い逃れ主義が、この業界の一番駄目なところです。そこには、誰よりも良い音で音楽を聴きたい! という欲求がないにも拘わらず、売り手に回ったり、アドバイスする側に立っているから妙な事になるのです。だから、私は次の言葉を、カイザーサウンドの格言の中に入れてあるのです。
相性の問題で済ませてしまうオーディオ界に前科者は居ない
業界に自浄作用を望めないのだったら、消費者に与えられた選挙権(買い物権)を持つ貴方、ユーザーである貴方が買わないという権力を駆使するしか方法はありません。良い音を提供してくれない所からは買わない! という意思表示を行動で示すべきです。
民主主義というメカニズムを知った上で、消費者自身が目利き鼻利きにならなければなりません。いつまでもその権力を駆使しないようであれば、消費者として利口とは言えません。
教訓そのA
安売りする店や人ほど音楽への愛情が希薄だ!
安い所で買うという事が、1番のプライオリティーであるような考え方は、今後改める必要があると思います。何故ならばオーディオの目的は、音楽を聴く喜びであり満足を手に入れる事だからです。
高額機を幾ら安く買っても満足に至らないのであれば、それこそが高い買い物ではないでしょうか。俗に言う猫に小判であります。オーディオは物を買うのではなく、買った後のサービスをも含め、物が生み出す本質的価値を買うものです。薄利多売を謳っている業者にとっては、どんな機器も利益を捻出する為の商材扱いとなります。一つ一つに愛情を掛けているような余裕は無いのです。
安売りする店や人ほど音楽への愛情が希薄だ! をインプットておくべきです。
診断そのC
パワーアンプSA-20が2台になった経緯の読みと運
モノラル仕様にしてから音のバランスが崩れてしまったので、ケーブルによって解決が図れないか? と思い、ある人に相談すると、「ケーブルよりもプリアンプを換えなくては解決しないでしょう」との答えが返って来たそうですが、私から診るとその答えは正しいとは思えません。
そもそも、SA-20が2台になった経緯は、元々あったSA-20が故障した事にあったと伺いました。時を同じくするように、SA-20を某店頭で発見し、ある思惑の元に迷わず購入したそうです。その思惑とは、修理不能になれば新しい方で聞けば良いし、運良く直ればモノとしてBTLで鳴らせるでした。
この程度の、と言うと叱られるかもしれませんが、普通はこのサイズのスピーカーにSA-20のような大型アンプを繋ぎません。それが2台ともなると尚更有り得ない話です。そして、モノ接続で音のバランスが崩れた事が今回のクリニックに繋がる発端だったと伺う事も出来ました。
でも、この一連の流れは凄く賢明だったと思います。部品が手に入らないとなった今では、スペアーを持っておくのはこうした古い機器を使う時の鉄則だからです。現実に、クリニックによって、これだけ素晴らしい音楽を奏でるようになった訳ですから、J.Tさんにとっては願ったり叶ったりではないでしょうか。
電源タップの挿し込み場所の配置換え
華奢なテーブルタップに強力なパワーが2台も繋がっているという事は、挿す場所によって電流供給力に大きな差が生じます。そこで、各機器の食欲に応じて適切な量を届けてやらなければ、ステレオは上手く機能してくれません。念力で決め打ちです。この配置転換は音楽の安定感に繋がりました。華奢なテーブルタップも使いようです。この最低と最高の音の違いを体験した皆さんは一様に驚かれます。
診断そのD
パワーアンプボードの前後・天地を入れ替える
パインの集成材をパワーアンプの下に敷いてありますが、天地が反対なら、前後も反対でした。今回も、こうしてことごとく響きの方向性が反対でした。だから、是正すると最高に音が良くなるのです。
スピーカーとスピーカー間の音の中抜けのような感じが無くなり、両スピーカーの発するエネルギーと、中央部から出て来るエネルギーの前後方向の足並みが揃う事によって、ステージ上に並ぶオーケストラの前後感・一体感が見事に再現されたのです。
それに伴い、あらゆる楽器の混濁した感じが殆ど取れました。楽器の持つ音色の魅力にうっとりする瞬間が頻繁に起こるようになりました。この時点で最初に頂いたクリニックの要望を満たす事が出来たのではないでしょうか。
唯一の製品提案
本日の真打であるインシュレーターの登場
J.Tさんからは、今回あらかじめ『高価なアクセサリーは買えないので、ソフト面でのノウハウによる音作りを中心にやって欲しい』と頼まれていました。従って、インシュレーターは出すつもりは無かったのですが、スタンド部分での使いこなしによって劇的に良くなったので、今後の目標にして頂ければとの思いで是非とも体験して欲しくなったのです。
J.Tさんのシステムの音の特徴は男性的です。どうしてそうなるかと言いますと、スピーカーの箱も直線ですし、スタンドの形状も直線です。柱も丸いけど縦のラインが沢山入っており、結局は直線がベースになっています。そうした直線が織り成す形状の音なのです。もう一つは押し出しの強いアンプの割りに伝送系(ケーブル類)のチームワークが今ひとつ追いつかない点にあります。
そこで持ち出したのがPB-REXWであります。美しくて流麗な音が特徴である母性のDNAを注入してやれば、全体的にバランスの取れた音になる筈です。勿論情報量アップとS/Nも一段と素晴らしく大化けする筈です。
オス・メス6ペアーのバランスと相性を見ながらペアリングし、音の抜けの良いように「加速度設置」を行います。装着して音出しした瞬間に場の空気が一変しました。見事な美しい音です。J.Tさんのシステムに一番欠けていた色っぽさも、ローゼンクランツのインシュレーターが運んでくれました。
恐らく聞く前までは仮に音が良くなったとしても、購入なさらないだろうと読んでいましたが、これだけ素晴らしい音を聴いた日には、そんなブレーキは全く効き目がありませんでした。圧倒的な音が出た時には、人の行動は瞬間に変わるものだという事も立証されました。
診断そのE
パワーアンプの受け持ちを左右入れ替える
私の耳は益々冴えに冴えて来ましたので、見逃した所は無いか? 音と共に眼を凝らし厳しくチェックします。右は広いリビングに繋がるせいもあり、音の抜ける量の加減で左のスピーカーに比べてエネルギーが少し弱く感じます。
パワーアンプの個体差も有るかも知れませんが、私の見立てでは左の黒いアンプの方が力感が強いと睨みました。音場が弱いと感ずる右に左のアンプを受け持たせば万事上手く行くとの思惑です。果たしてこの部屋のコンディションに於いて、吉と出るかどうかはやってみれば分かる事です。
結果は大成功です! スピーカー間にはオーケストラが先程以上に広がり、部屋の壁が取り払われたかの如く、何倍もの広い部屋で聞いている感じになりました。これだけ左右がいびつな部屋で、この鳴り方は想像を遥かに超える好結果をもたらしてくれました。
2台のアンプの特性が違っていた事が吉と出たのです。人生何処でどう転ぶか分かりません。こんな事もあるんです。まぐれが2度続いたような気分でちょっと怖い位です。
そんな喜びをJ.Tさんと分かち合っていた時に、丁度奥さんが帰宅され、お寿司を夕飯に買って来て下さったので、美味しくご馳走になりました。一息入れた後、私は奥さんに尋ねてみました。
「ご主人がステレを聞いている時に、うるさいと思った事はありませんか?」
『しょっちゅうです!』
出ました! 奥さんの本音が・・。
J.Tさんはちょっぴり申し訳なさそうにしている。でも、今日からは奥さん大丈夫ですよ! 今まではどうしても聞き取れない部分があったから、それを求めてボリュームが上がりがちだったのだけど、小さい音量でも素晴らしい音楽が聞けるようになったので、その必要がなくなりますから。
また、仮に大きな音を出しても心地良くなろうとも、不愉快な音にはなりませんから、どうぞご安心下さい。
診断そのF
ラックの位置調整、右へ10センチ移動
思いつく事は大体やりつくしましたが、プリアンプやDAコンバーターがある右側のオーディオラック部分については未だ手付かずだったので、調整しておかなくてはいけません。特に右のスピーカーの真ん前にある関係で、振動の周期の折り合いが悪いとエネルギーが減衰気味になります。
ここを決めたら終わりです。J.Tさんに手伝って頂きながら10センチスピーカーから離れる方向に移動させました。この効果も大変大きいものがありました。リズムとテンポ、そして抑揚も随分と良くなりました。
J.Tさんのオーディオクリニックは、今までの中で費用対効果に於いては最高の結果となりました。手持ちの音楽ライブラリーの価値は何倍にも広がり、仕事への影響も大きいものがあると思います。作家はイメージが大事です。頭の冴えと共に豊かな感性でより良い作品を誕生させて下さい。
ノンフィクション作家のJ.Tさんからは、私も大いなる刺激を頂きました。私の人生の第4楽章はお陰で素晴らしいものになりそうです。この度の価値ある充実した会話の中から、数え切れない天からの啓示が見えて来ました。
一に感謝! 二に感謝! 三に感謝!
又、お会いしましょう。