−プロフィールとデザインコンセプト− |
『時間軸一致の命題を徹底追及』 |
井上 千岳 |
電気的な時間軸と振動の時間軸を一致させること。それがオーディオシステムの理想であるととく。
この独自に打ち立てられた命題にしたがって、まずはインシュレーター、そしてケーブルへと開発の歩を進め、現在では管球式アンプやスピーカーも製作している。
販売店も経営するハウスブランドである。その開発姿勢は徹底した試作、手作りのそれを繰り返しながら、線材からその配置、絶縁などを入念に検討し、実に六重もの複雑な構造を作り上げている。
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−3EXシリーズをトータルで試聴− |
『音の魅力〜生かすポイント』 |
スケール大きく倍音豊か巧みな再現で納得させる |
ローゼンクランツのケーブルは極太である。それも当然で、中身が実に入念な作りとなっているからである。導体はOFCを撚り合わせてエアロポリエチレンで絶縁したマルチストランド。これを2本撚って1組とする。これに綿布と編組シールドをかけたものを3組用意する。この他に、ずっと線径の小さなOFCを撚りあわせたもう1組を作り、合計4組の導体をさらに被覆している。これだけのジャイアントなサイズになるのも不思議ではないのである。
さてその電気と振動の時間軸というのは、つまりこう言うことであろうか。電気信号には周波数が有る。これらは時々刻々と変化してゆくが、双方の位相がぴたっと合ったところではエネルギーが倍加する。逆に位相がずれてしまうと、そこに損失が生じるということである。もちろんこうした説明は概念的なもので、測定でどうこう説明できるものではない。むしろ、実際に聴いてみた方が実感が湧くというものである。
デジタルケーブルからライン、スピーカーと徐々につないでゆくと、何か音に統一が生まれてくるように感じる。全てをローゼンクランツに変えたとき、エネルギーが一挙に開放されたような心地よさを覚えたものである。全ての位相がピタリと揃ったような、ずれのない状態。そこに生まれてくるエネルギーは、濁りがなく、しかも力強さにあふれている。倍音の豊かなこと。それでいて芯の詰まった、がっしりした骨格を備えている。時間軸の一致とはこういうことだったのか、と納得させるものを確かに持っているのだ。
このケーブルの音はスケールが大きい。どんなシステムでも慣らせそうな気がするが、やはり大型システムで朗々と鳴らすのが一番であろう。演奏者の周りの空気まで見えるような巧みな再現力。空間の奥行きと高さまで手にとるように感じられる音場のリアリティーが、音を鳴らしきった開放感を呼び起こしてやまない。
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オーディオアクセサリー 90号より引用 |
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ローゼンクランツケーブルの注目点、聴感で追及した極太モデル |
テスター 井上良治 |
オーディオで大切なのは振動敵時間軸と電気的時間軸だと、オーナーの貝崎氏は言う。
振動的時間軸の改善に役立つのが同社のインシュレーターだとすれば、電気的時間軸を整えるのが、同社のオーディオケーブルなのである。
今回は、PIN-3S、PIN-3EXの2タイプが用意されているが、何れも極太。従来のケーブルの軽く3倍くらいはある。ヒアリングの繰り返しで追い込んで完成させたケーブルであり、1セット作るには約5時間かかるという代物である。
システムが上手くならないのはハードだけのせいではなく、鳴らし方のせいだと主張するのが貝崎氏。そして、正しい鳴らし方のために生まれたのが本機なのだ。
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ローゼンクランツを聴く堂々として丁寧な鳴り方だ |
同社のオーディオケーブルは、0.6mmの芯線を絶縁してプラスとマイナスを寄り合わせ、天然綿布を巻き、網線シールドをかけて、これで1ペア分。そのペアを3組まとめて使うのが基本となっている。3組使うというのがノウハウのようだ。
PIN-3Sの音だが、実に堂々と音を出してくる。エネルギー十分とはこのことだろう。その分だけ音楽が聴きやすく、音楽を聴きこもうという気持ちにさせる。輪郭表現も丁寧で、ボーカルの存在感はなかなかだ。
PIN-3EXは、PIN-3S似たかさと拡がり、エネルギーバランスの充実を加えた傾向のモデルで、実にバランスのよいおんぞう定位を楽しませる。
硬さを前に出さず、それでいてリアリティーを出す。音像自体のサイズが、大きすぎず小さすぎずで、この辺が大きな強みである。
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オーディオアクセサリー 82号 |
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