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■DAコンバーター専用電源ケーブル(AC-DA614)の開発 |
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DAコンバーターだけは他の機器と違ってデジタルとアナログの二つの信号を扱います。全く言語の違う二ヶ国語を喋るバイリンガルなのです。そうであるなら、単一語しか喋れない他の機器と動作のあり方に違いがあるのは当然です。しからば、自ずとDAコンバーター専用の電源回路や電源ケーブルが必要なはずです。そんなイメージが出来た1年半ほど前に開発に着手しようとしたのですが、その後どうやっても設計図が書けませんでした。
それがこの最近、ひょんな事からひらめいたのです。方向性の見直しに始まり、戸籍簿順にもメスを入れ、その結果、プロトタイプながらDAコンバーター専用電源ケーブルが完成したのです。その名は「AC-DA614」です。その記念すべき6月14日の日にちをそのまま型番にしたのです。それぐらい私にとっては忘れられないオーディオのターニングポイントとなる出来事でした。デジタルという無敵のボクサーに対して、カウンターパンチで初めてダウンを奪ったような感覚でした。また一つ「音のカラクリ」を暴きました。
<注意> このAC-DA614の使用出来る機器は、「DAコンバーター」、「CD、SACD、DVDプレーヤー」、「デジタルアンプ」です。すなわち、DAコンバーターが内蔵されている事が条件になります。他の機器に使うと逆効果になります。
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逆起電力の考え方に疑問 |
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その気になるDAコンバーター専用電源ケーブルの音なのですが、押し一辺倒の音から引き際の音までも同じようにダイナミックレンジが上がります。すなわちクレッシェンド時と同じくらいの表情がデクレッシェンド方向にも見えるようになったのです。催眠術を掛けられたように、スピーカーが自在に動く感じと言えば分かってもらえますでしょうか・・・。
常に問題とされるスピーカーの逆起電力など全くゼロのようです。強力な電流供給能力こそが逆起電力を防ぐという考え方を私も長年信じていましたが、ACケーブルの設計次第でこの鳴り方の変化が生まれることを見れば、逆起電力という考え方そのものに間違いがあるのでは?、と思うようになって来ました。
パワーではなく、「技」、すなわち「理に適った構造」が解決したものと思います。JBLの4344MkU38センチ口径のスピーカーも、まるで無重力状態のように軽々と動くのです。CDによる音楽再生では、ピアニシモ時の表現力が苦手ですが、決してスピーカーの音を認識するような事はありません。目に浮かぶのはミュージシャンの姿と楽器だけです。特筆に価するのは、こうした大型スピーカーであっても、ミニマムボリュームで音楽の迫力を感じ取れる事です。 |
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電源工事をしても音のバランスを崩す事がある |
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クリニックとセッティングをさせて頂いたお客さんから、『おかげで毎日音楽を聴くのが楽しくて仕方がない』と喜びの声を聞かされていたのもつかの間、『電源工事をして以来、音楽を聴く気がしなくなった』と沈んだ声で相談がありました。「エージングが進めば・・・!?」と、待ってもみたそうです。こなれ具合こそ少し良くなったけど、それとは根本的に違う何か他の原因で、バランスを崩しているに違いないと判断されたようです。勿論悪い事ばかりではなく、音質面においての向上は認めつつも、気持ちとは裏腹に身体が聴きたくなくなるのだそうです。人間とはそういうものなんでしょうね・・・。
お伺いして判ったことは、音楽にとって一番大切なテンポやリズムが崩れていました。配電盤から強力な三相用のケーブルを引いたのはいいのですが、その長さがまちまちなので足並みが揃わないのです。これは決してエージングで解決出来るものではありません。オーディオ専用電源工事の考え方は、各々の機器に独立したブレーカーを用意し、余裕のある電気とクリーンな電気を供給する事にあります。
この考え方に間違いがあるとは言いません。6個、8個と機器の数だけコンセントが用意されます。でも、そのケーブルの音の良い長さまでは考慮に入っていません。料理で言うなら魚の鮮度は文句なしなのだけど、調理法と包丁の入れ方が合っていないと言ったらいいのでしょうか・・・。素材が良いが故に、わずかな差がかえって大きく出てしまうのです。
「音質が良くなる事」と「音楽性が良くなる事」とは別の話です。その両輪で良くなっていく事が望ましいのです。その序列は音楽性が優先すべきです。どなたの心の中にも機器の音の良し悪しを超えて音楽を聴いて感動した体験をお持ちのはずです。そんなコンディションをお届けしたいものです。 |
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電源タップ「ナイアガラ」シリーズの優位性 |
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それは1点集中アース方式によって各コンポーネントの足並みが揃う事にあります。購入された方達の感想は異口同音で、『音から音楽に変わった!』に集約されます。ただ、そのナイアガラのタップを使ってしてでも、未だヘッドフォンで聴くスピード感のあるリズミカルな音には素直に申し上げて敵いません。そしてまだ生音に比べるとわずかにタイムラグがあります。
一体何が不足しているのだろう・・・?。コンポーネント以外は全ての方向性を揃える事もしました。インシュレーターに限っては瞬間に反応するところまで追い込みもしました。「電気の時間軸」、「加速度組み立て」、「空間の時間軸」、「振動の習性の研究」etc・・・。ありとあらゆる角度からトライしました。
ステレオ機器としての理想を描き、試みるだけの事もしてみて、ほんの僅かでも理想とする結果に到達出来ないとすると、視点を変え、別の方法でトライするしかありません。そのヒントは、良いはずの電源工事をしてみても音楽の足並みが崩れる点にありました。工事をした事でタイミングを失ったわけですから、やり方次第ではベストタイミング、ベストポジションがその同一ライン上の中の何処かに必ずあるはず!。ならば、先回りしてそのタイミングを待つぐらいの余裕を持てば、各機器の足並みを揃えることは可能ではないのか?。 |
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タイミングの問題 |
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電源トランスの巻き線の先に繋がるACインレット端子までのリード線の長さの違いによってそれぞれ微妙にタイムラグがあります。それはメーカーの数だけ、またその機器の数だけ、スタートダッシュや踏み切りのタイミングに違いがあります。楽器の調律とて同じです。違う種類の楽器を、各自『しっかりとチューニングして来ました!』と言っても、音合わせ無しで、そのまま本番に入ったら不協和音で大変なことになるでしょう。
誰かの楽器に合わせて再調律する作業が必ず必要になります。オーディオ機器もこの工程をどこかに入れない限り音楽には到底辿り着きません。その方法論を皆さんも考えて欲しいのです。揃っていない状態の物の集まりだという事を初めから認識し、みんなの知恵で揃える事に努めるという考え方から始めない限りはコンポーネントから音楽は生まれて来ません。
例えて言うなら、仲間の中に集合時間に遅れる者がいたとします。スピーカーという最終現場で各自待ち合わせをするから集合時間がまちまちになるのであって、実際よりいくらか早目の余裕ある時間を告げ、待ち合わせには電源タップという一歩手前の場所に決めます。そこで全員が揃った事を確認した上で、目的地のスピーカーまで一緒に移動すれば間違いなく出音であるスピーカーの足並みは揃うはずです。
この理屈をコンポーネント間で実現出来たらスピーカーは理想どおりに動いてくれるのでは?・・・・。それには配電盤から最終の各コンポの間で成し遂げれば良いはずです。アナログ機器、デジタル機器を問わず、電源回路が繋がっている事が不利に働く事もあれば、繋がっているが故に有利に働く事があるはず。これこそががキーワードです。この仮説と直感には間違いありません。あとはそれを達成する為にどういうメカニズムをその回路の中に仕込むかに掛かっているだけです。 |
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