信号の自然な方向性を確保しリアルな再現力を持つ |
井上 千岳 |
あらゆる項目にわたって方向性を揃えることで、信号の自然な通りを確保することができるというローゼンクランツの思想によって作られたジャンパー線である。
確かにスピーカー付属のショートバーには疑問を感じることが多いが、それだけにユーザーからの要望も強かったのであろう。贅を尽くしたジャンパー線の完成である。
導体はもちろん、被服、Yラグにいたるまで、ことにYラグは上下裏表まで方向性を管理して作られている。
105mmという一見中途半端な長さにも意味があるのだ。
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音質傾向 |
指定どおりにスピーカーケーブルの上側にこちらのYラグを乗せる形で接続する。
信号の通りが滑らかで、ピアノのタッチや余韻が瞭然としてくるのが分かるのだ。
特に低域の把握力が高まり、瞬発的な音の立ち上がりが改善される。
コーラスでは声の質感がリアルになる。
ことに低域の質感に変化が大きい。
接続の仕方でも音が変わるので,注意が必要である。
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オーディオアクセサリー・・・96号より引用 |
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ローゼンクランツ・バイワイヤリングジャンパー線信じられないジャンパー線とアタッチメントの世界 |
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村井 裕弥 |
僕はバイワイヤーが苦手 |
マニアの皆さんは、本当はどう思っているのだろう。バイワイヤー接続を実行している人って、どれ位いるのだろう。藤岡先生のように、パラドライブするというのなら分る。本格的マルチの効用も知っているつもりだ。
しかし、バイワイヤー接続というのは、どうもよくわからない。「本当はメーカーもバイワイヤーにしたくない」とか「こうしないと売れないから、嫌々バイワイヤーにしている」ならまだしも「ケーブルが2倍売れるから」といった怖い噂も飛び交っている。(あくまで嘘ですよ。石を投げないで)
あのカイザーが、ジャンパー線を作った
そんな僕に「ジャンパー線のレポートを書け」と、編集長は言う。「ええっ。僕はバイワイヤーのスピーカーは嫌いなんですよ。メイン・システムは、シングルワイヤー・オンリーのに買い変えちゃったし」「でも、まだサブ・システムで1組残してるんだろ。それを使えば、テストできるじゃない。それに、これがうまくハマれば、これからバイワイヤーのスピーカーも使って行けるわけだし」
お客を巻き込んで、大試聴会
カイザーサウンドといえば、素材の徹底した方向管理。本誌読者に改めて説明する必要はないだろう。(もし知らない人がいたら、1月号の72ぺーじを読んで)。しかし何と言っても、たかだか数センチの電線である。これを方向管理か。ウーン。これ、左右ペアーで3万円もする。「はたして、それだけの価値があるものか」。自分ひとりでグワーッと集中して聴くと、違いがわかったような気になりがちなので、オーディオに無縁なお客も巻き込んで、一大試聴会を開催する。そして、何をしたのか(換えたのか)説明なしで、音だけを聞いてもらい、メモを提出してもらう。
まずは、メーター200円の格安ケーブルで自作したジャンパー線=別に不満はない。これはこれで、けっこう聞ける。
メーター3,000円のケーブルで自作したジャンパー線=情報量が俄然増える。高域のヌケも向上。お客さんの目が、急に真剣になる。
真打ち・カイザーのジャンパー線=ピアノの音量が、ぐっと上がる!ピアノのガツーンがきれいに(出て欲しいところだけ)立ち上がる。それでいて、けっして硬くなったりはしない。交響曲は、間接音が倍加。いや3倍増くらいか。いかにもライブ収録という感じのサワサワ感が聞こえてくる(さっきまではライブだって気が付かなかった)。音調もノーブルな方向に変化。「い、いったい何を変えたの?今の、同じCDなの?ホントに」。お客さんの目は点!
カイザーサウンドの原点、スピーカーアタッチメントも試す
しかし、このお客さんはさらに腰を抜かすことになる。カイザーサウンドから、もう一つ”秘密兵器”が届いていたのだ。スピーカーアタッチメントSP-52.5。名前からは想像のつかないアクセサリーである。要するに、スピーカーケーブルとスピーカーターミナルの間に入れて、音を良くしようという製品だ。
「そんなバカな。シンプル・イズ・ベストだ。信号経路をシンプルに短くするのが、イイ音への道。そんなものを入れたら、その分、電気が余分なところを通って」。しかし、わが家に来ているお客さんには、そんなオーディオ知識はない。大体何を変えたのかさえ知らせていない。3人で、(黙りこくり)ひたすらメモを取っているだけなのだ。
カイザーのジャンパー線+カイザーのスピーカーアタッチメント=きれいきれいだったピアノの音に、いい意味での濁りが出てきた。全体のまとまりも向上。上品さも。交響曲は、深みと奥行きが出た。まろやかで香り高い音。ヨーロッパ的。こんな声が圧倒的。
しかし、それから数日後、広島から更に宅配便が届いた。あけてみると、またスピーカーアタッチメントが出てくる。貝崎社長いわく、「前回送ったモデルで、ほんの少しひっかかっていたところが解消されました。名前はSP-52.5パーフェクト・モデル。左右ペアーで79,000円です。ぜひ聞き比べてください」。
お客さんをまた呼ぶわけにはいかないので、やむをえず奥さんと二人で聞く。これと比べると、あんなにマイルドに聞こえた4がとげとげしく感じられるから不思議。スピーカーアタッチメントのわずかな改良だけで、エネルギー感が増し、谷川の清流がほとばしる如く、音楽が宙に舞う。これを「安い!お買い得」とは書きにくいが、絶対に他のものでは得られない。
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